- ドクトル・ホリコン 堀内智彦
- 株式会社グリップス 企業ドクター
- 東京都
- 経営コンサルタント
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
会社の病気を治すホリコンです。
★業務的意思決定
原価計算のメリットは、社内生産活動の改善の目安となるだけでなく、同じ製品や工程を社内で実施するか?協力会社に外注依頼するか?などの「意思決定」の判断にも使えることです。
納期的に厳しく社内で対応できないが、せっかくの注文を断るのはもったいない?など、受注選択や、内製化と外注化ではどちらにメリットがあるか?という問題に対しても原価計算の技術で判断することができます。
ここでは、このように日常の意思決定のことを「業務的意思決定」として、新たな投資をしたり、経営資源(ヒト・モノ・カネ)を大幅に変更するという意味の「戦略的意思決定」という言葉と区別しています。
図表 内製化と外注化の利益把握の比較
内外区分
利益の計算方法
内製化
売価-(材料費+労務費+製造経費)=利益
外注化
売価-外注費=利益(限界利益)
外注費には当然、外注先(協力会社)の利益が含まれているので、同じ企業規模であれば、内製化の製造原価よりも、外注費の方が高いと思われます。
さらに、キャッシュフローの観点からは、外注費は全額支出を伴います。
他方、内製化では材料費は変動費であり、労務費と製造経費は固定費であるので、生産において残業しなければ新たな追加支出はないので、外注判断については、損益とキャッシュフローの両面から是非を検討する必要があります。
★戦略的意思決定
これは原価計算においては「特殊原価調査」という範疇にあたると思われますが、新規投資をすべきか、外注化するべきか?あるいはこの厳しい時代においては、「撤退戦略」も重要な選択肢のひとつです。
いわゆる「選択と集中」という意思決定を迫られる場面において、その代替案を考える際にも原価計算のテクニックが有効となります。
図表 意思決定の二つのレベル
業務的意思決定
現状の経営資源を大きく変更せずに、売上・利益を最大化する活動であり、管理者主体(ミドルダウン)。業務改善レベル
戦略的意思決定
経営資源を大きく変更する。大規模投資あるいは事業撤退という選択肢もある。経営者主体(トップダウン)。業務改革レベル
★受注選択
通常取引においても、特に数量が多い注文とか、特別な値引き要求を受けることがあります。この場合においても、きちんと原価を把握していなければ、いくらまで値引してよいか判断しかねます。
特にデフレ時代の現在では、このような意思決定を迫られる場面が多いと思われます。このような臨時的引合いや値引き要求に安心して?対応できるような原価管理が求められます。
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