- 杉浦 繁
- Atelier繁建築設計事務所 代表
- 愛知県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
建物という物には必ず窓という物があります。
もちろん、住宅にも必ず窓という物があります。
窓なんかいらない!
なんて、ひねくれたことを言う方も時にはいらっしゃるかもしれません・・
が・・
残念なことに窓という物は居室においては必ずなければならない・・
と、法律で定められているので・・
ちょっと違うか、窓でないと出来ないことを居室ではしなければならないと決められているので・・
つまり、基本的には窓のない住宅というのは建てることが出来ません。
うーん、断定ではないのですが・・
というか、窓にかわる何かの装置などがあればなくても構わないのですが・・
これは実際には特殊な用途の建物以外では現実的ではありません。
ここで言う居室というのは、建物の中にある室の中で・・
人が継続的に使用する室・・
長時間存在する室・・
のことを言います。
住宅で言うと、リビングダイニング・寝室・子供部屋・ 応接間などが居室にあたり、便所・浴室・洗面所・玄関などは居室にはあたりません。
つまり、便所・浴室・洗面所・玄関などには窓がなくても構わない・・
が、リビングや寝室などには窓が必ず必要である・・
ということになります。
では、窓というのは何もって窓と言うのでしょう?
法律では、昼間に外の光を取り込むことが出来、開けると外気を取り込むことの出来る開口部・・
が、窓であるとしています。
いや、逆です・・
外の光を取り込み、外気を取り込むための窓を設けなければならない、となっています。
これを「採光」、それから「換気」と言います。
それと、これはちょっと難しいのですが・・
建物には火事の際に煙を外部に逃がすための窓ないしは装置が必要と決められています。
これを「排煙」といいます。
法律上では、窓というのは採光と換気を取り煙を逃がす排煙の出来る開口部のことです。
つまり、ガラスでなく板の入っている窓状の部分は採光上の窓ではありません。
が、それを開けることが出来ればそれは換気・排煙上は窓です。
外の景色が見えない開口部であっても光が入り開けることが出来れば、それは窓です。
では、窓の向こう側にでっかい塀があったり、窓の外がすぐに隣のビルの壁、なんてなっていて実際には外の光なんて入らない・・
なんてのはどうなんでしょう?
法律上、これは採光上は窓にはなりません。
形として窓としてあっても構いませんし、換気は取れますが、採光上は無効な窓として扱われます。
どのくらい離れてればいいのかとか、どのくらいの高さの塀ならいいのか、ってのは難しい計算式で計算して、どのくらいの高さの塀ならどのくらい離さなければならない、と出すことになります。
そして窓は、その居室の広さや天井高から採光や換気や排煙によって、どおゆう大きさで、どおゆう形の窓が、どおゆう向きや高さで必要か出来るかを、計算して決められます。
それらをクリアして・・
その上で、やっとデザインが生まれるのです。
たかが窓って言ってもけっこう難しいのです。
ここまで来ると、ハタと気がつきませんか?
そうなんです・・
実は・・
外が見えることと窓であることは法律上はまったく関係がない・・
のです。
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