不動産を売却希望のお客さんから、
専属や専任で売却の依頼を受けたいがために、
相場を無視した、
高すぎる査定金額を提示することに対しての批判は以前からあります。
「当社であればこの価格で売って見せます!だから専任下さい!!」
で、結局売れずに金額を下げてもらうのは、
一種の詐欺みたいなもんです。
なぜそんなことするかというと、
以下のようなカラクリがあります。
複数の業者が一度に査定に呼ばれることは良くあります。
どこの業界にもありますが、
要するに合い見積もりですね。
高い金額を提示されて喜ばない売主さんはいませんから、
他社より少しでも高い金額を言って、
専属か専任で媒介を取りたいのです。
ですから、多数の業者が査定に呼ばれえると、
それぞれ他社の言う金額を気にして中々査定価格を言わない、
という事態が発生します。
一番最初の業者は自分が伝えた金額が、
他の会社の叩き台になってしまうのを恐れているので、
「調査して再度お伺いさせて下さい」
といって、回答を避けることがあります。
二番目の業者は、
「他社さんはどの位のこと言ってました?」
と当然聞きます。
日を改めてまた来るそうですよ~、
ということを伝えると、
「では当社も後日」
となり、それがずっと続きます(笑)。
イタチごっこのようで笑ってしまいますが、
これって本当に行われていることです。
お客さんが喜ぶであろう高い金額を伝えて、
その場で媒介を取得しようとするから、
こういうことが起きるのです。
しかし、高い金額で媒介を取ることがいけないという訳ではありません。
周辺物件の売出・成約状況を提示して、
「現在の状況や過去の事例から、
相場として恐らくこの辺りではないでしょうか」
と適正な金額を伝え、
売主さんの売却事情を踏まえた上で、
「急いで売る必要はないようですから、
最初はご希望の金額で出してみたらいかがですか?」
と提案するのは全然ありだと思います。
仮に売れずに金額の見直しを提案する際も、
違和感なく受け入れてくれると思います。
問題なのは適正な金額を伝えないで、
あたかも
「自分に任せてもらえれば他社より高く売れる」
とだけしか言わないことです。
「本当の価格を言ったら断られる!」
と思ってるからそうするんでしょうが、
真実をしっかりと伝えて信頼してもらえれば、
例え他社より金額が低かったとしても
選んでくれると思うのです。
商売は常に正直にしていきたいですね。
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