- 杉浦 繁
- Atelier繁建築設計事務所 代表
- 愛知県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
私達のような建築を志している者達・・
建築を愛している者達にとって・・
自分の建てた建物や家というのは自分の子供や分身みたいなものです。
ですから建物や家というのはみなみな誰かの子供や分身みたいなものなのです。
その物を家を生み出すときにかけた思いや労力は一軒一軒忘れることなどは決してありません。
まあ、いつでも何十軒もの担当を持っているメーカーとかの人達にはそんな気持ちがあるのかどうかは知りませんが・・
そして・・
目の前を誰かの分身がどんどん流されていく・・
何軒も何軒も・・
まだ中に我々が守ろうと努力した人々がいるかもしれないのに。
それがぶつかって、そう文字通りバラバラに・・
どれもこれもがれきの山に・・
こんな壊れ方見たことも聞いたこともない。
見てるだけで泣けてきます。
胃が痛くなってくる。
誰かの分身であったはずの家々がどこにももう見あたらない。
中にいた人々ごと。
ショックでした、しばらくは何も出来ませんでした。
どうにもこうにも・・
建てた人ならおわかり頂けると思いますが・・
家を一軒建てるのには相当なエネルギーが必要です。
たくさんのいろいろな人々の労力や努力が集まって時間をかけて家というのは建てられます。
もちろんその家は施主さんの物なのですが、建てるのに関わった人々は例外なくその家を見て言います。
「この家は俺が建てたんだ・・」
家を建てるというのはそういうことなのです。
そんな人々の力や思いの結集である家を自然は一瞬でバラバラに破壊してしまいます。
文字通り、一瞬です。
そんなこと出来る解体業者などこの世にはいません。
爆破解体だってもっと時間がかかります。
自然は凄い、本当に。
当たり前に思っていたことをまざまざと再認識させられる。
人の努力も命もあっという間に奪い去ってしまう。
きっといつかは10mを超えるような津波が来てもびくともしない家や街を造ることが出来る時代が来るでしょう。
今はまだ無理かもしれない。
それまでの間は・・
何度やられてもまた建てればいい。
何度でも何度でもやり直せばいい。
もう一度時間をかけて分身を造っていく・・
少しづつ学びながら・・
我々はそんなに弱くはないのです。
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