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米国特許判例紹介:ソフトウェア特許に対する権利侵害(第1回)
~ソフトウェアモジュールがロックされている場合に侵害が成立するか~
河野特許事務所 2011年3月11日 執筆者:弁理士 河野 英仁
Finjan, Inc.,
Plaintiff-Cross Appellant,
v.
Secure Computing Corporation, et al.,
Defendants Appellants.
1.概要
米国特許法第271条(a)[1]に規定する直接侵害が成立するためには、方法クレームの場合、イ号方法が方法クレームの全てのステップを実行する必要がある。また装置クレームの場合、イ号装置が装置クレームの全ての構成要件を具備する必要がある。
ここで、イ号装置が、装置クレームの一部の構成要件を用いずに実施するモードと、当該構成要件を用いて実施するモードとを、選択することができる場合に、特許権侵害が成立するか否かが問題となる。
同様に、イ号方法が、方法クレームの一部のステップを利用せずに実行するモードと、当該ステップを利用して実行するモードとを、選択することができる場合に、特許権侵害が成立するか否かも問題となる。
本事件においては、イ号装置は、クレームの構成要件であるソフトウェアモジュールを具備するが、販売時にはロックされており、ユーザが鍵を購入し、ロックを解除することによって初めてアクティベートされる。CAFCは、装置クレームに関してはソフトウェアモジュールに係るソースコード自体について何ら変更する必要がないから、ロックされていようとも、直接侵害が成立すると判断した。その一方で、方法クレームに対しては、実際の操作がなかったことから直接侵害は成立しないと判断した。
[1] 米国特許法第271条(a)の規定は以下のとおり。
(a) 本法に別段の定めがある場合を除き,特許の存続期間中に,権限を有することなく,特許発明を合衆国において生産,使用,販売の申出若しくは販売する者,又は特許発明を合衆国に輸入する者は特許を侵害する。
(第2回へ続く)
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