被相続人の死後、もし被相続人が手書きした遺言書を発見したら勝手に開けてはいけません。
開封する前に、すぐさま家庭裁判所に提出して、「検認」という手続きをしなくてはなりません。
「検認」とは、その遺言書の存在と内容を全相続人に対して知らしめ、偽造・変造を防止するために必要な手続きです。
この手続きをおこたり、封のしてある遺言書を勝手に開封した場合には、5万円以下の過料(刑罰(「科料」)ではなく、行政罰です)を課せられる可能性もあります。
手書きの遺言書のことを「自筆証書遺言」といい、費用を一切かけずに、いつでも、自分の思い通りに作ったり、訂正したりできる一番「手軽な」遺言書ですが、法的に効力を発揮する遺言書となるためには一定の条件があります。
○手書きであること。(ワープロや代筆は不可)
○作成日時が明らかであること。
○本人の署名・捺印があること。
○内容が具体的で、実現可能な内容であること。
※相続人名(血族相続人以外を指定する場合は、住所等の個人特定できる情報も記載すること)、「相続」か「遺贈」か、相続したい財産の内容など。(不動産の場合なら謄本記載通りの地番まで明記、銀行口座ならば銀行名・支店名・口座番号・口座名義まで明記のこと)
時の経過等により字が消えて読しまう可能性があるため、鉛筆書きではなく万年筆やボールペンなどで書きましょう。
訂正箇所がある場合には「加筆・削除・変更」も可能ですが、訂正方法が間違えていた場合、遺言書そのものが「無効」となってしまうリスクがあるため、最初から書き直すことをお勧めします。
遺言書が複数見つかった場合には、日付の新しいものが「有効」となります。
「自筆証書遺言」の場合、見られたくないから…と、本棚や机の隅などに隠しておくと、すぐに発見されなかったり、破棄されたりしてしまう危険性や火災などの災害でなくなる可能性もあります。
最近では「遺言書キット」なるものが書店などに数千円で売られており、これを使うことで誰でも間違いの少ない遺言書が作成できるようになりましたが、より確実に自分の意志に従って財産を相続させたいのであれば、「自筆証書遺言」ではなく、「公正証書遺言」を検討されてはいかがでしょう。「公正証書遺言」であれば、家庭裁判所での「検認」も不要です。
「公正証書遺言」の詳細や作成方法につきましては、「遺言書の基礎知識(2)」にて詳しくお話する予定です。
このコラムの執筆専門家
- 高原 誠
- (東京都 / 税理士)
- フジ相続税理士法人/株式会社フジ総合鑑定 税理士
不動産鑑定士と協働。不動産に強い相続専門の税理士です。
フジ相続税理士法人は、名前の通り「相続」に特化した専門事務所です。税理士だけでなく、不動産鑑定士・司法書士による相続・不動産問題の独立系コンサルティンググループですので、相続・不動産全般のお悩みに対応しています。どうぞお気軽にご相談下さい。
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