- 税所 彰
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対象:コーチング
ある会社で在庫の欠品が生じました。責任を問われた発注係り
のAさんが、泣きそうな顔でカウンセラーに相談に来ました。
Aさんは、その注文については上司がやっているものだと思い
込んでいたので、自分が責任を問われるのは心外だ、という
のです。
「上司に任せたことを確認しなかったのですか?」とカウンセラー
が尋ねると、失礼になると思って確認をとらなかった、という答え
です。
確かに、上司が「私がやっておく」と言った仕事を、「あの件の
発注は済みましたか?」と確認するのは、ストレート過ぎて、
上司の機嫌を損じてしまう惧れがあります。
Aさんは上司への気兼ねから、今までもあえて確認しない
できたようです。
そこでカウンセラーは質問しました。
「失礼にならないで確認を取る言い方を知っていますか?」
「・・・・・」
Aさんはきょとんとした表情を浮かべています。
「こんなことをお聞きして失礼ですが~」、「申し訳ありませんが
確認させてください」、「失礼な言い方で恐縮ですが~」
言い方はいくつもありますが、大事なことは相手(上司)を
リスペクト(承認)していることをまず最初に伝えることなの
です。
この一言が、相手の心の扉を開く「マジックワード」です。
「マジックワード」でまず相手の心を開いておいてから本題を
伝えて、初めて言いたいことが相手の心に届くのです。
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コミュニケーションがうまく取れない、というときの原因は、
言葉の「量」の問題に向けがちです。本当の原因は、相手を
きちんとリスペクトできていない「質」の問題であるケースが
多いのです。
「上司への気兼ね」は要りません。大事なのは、上司の
心にしっかりアンテナを向けて仕事する心構えです。
心構えができていれば、「マジックワード」の一言は自然と
口に出てくるものです。
逆に自分が上司の立場であった場合でも、部下と
コミュニケーションを取るコツはこれと同じです。
上位にいる者ほど部下へのリスペクトを忘れては
いけません。
カウンセラーの言葉に、Aさんは表情を明るくして
「私に欠けていたのはそういう一言だったかもしれませんね」
と納得してくれました。
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