- 服部 真和
- 服部行政法務事務所 ギター弾き行政書士
- 京都府
- 行政書士
対象:企業法務
- 村田 英幸
- (弁護士)
- 尾上 雅典
- (行政書士)
企業が営業をしていくなかで、他の企業や一般消費者との間で「モノ」を得たり、渡したりする場面は非常に多くあります。
その中で、もっとも多いものは企業自身の意思に基づいて「モノ」を売買するか、あるいは交換するケースです。このような企業の意思によって他者との間で「モノ」の移転を発生させる方法として、広く用いられる重要なものが契約です。
そして、IT企業の場合、自社が提供する「モノ」は目に見えないものが多く、通常の物販業などよりも複雑な契約形態となりがちです。
例えば、ソフトウェアの売買を行う場合、確かにパッケージされたCD-ROMなどを他者に渡します。
しかし、このパッケージやCD-ROMあるいは添付されたマニュアル自体にそれほど大きな価値はなく、契約の主要目的とはなり得ません。
また、通常の契約を交わしたとしても「モノ」の移転、すなわち所有権の移転が行われるのはあくまでCD-ROMやマニュアルといった目に見える有体物に限定されるので、本来の目的達成すら叶わないのです。
それでは、本来の目的とは何かですが、この場合、売り手が売りたいものは目に見えない無体物であるソフトウェアです。
そして買い手側もこの目に見えない無体物のソフトウェアの所有権(のようなもの)を確実に自分のものとしたいと思っています。
このソフトウェアの所有権(のようなもの)をどのように概念化するかは、なかなか困難なのですが、現行法上では民法、著作権法、不正競争防止法、場合によっては特許法などによって定義が成されております。
ソフトウェアの例をとっても、このように複雑な事情がありますが、IT企業はこのような「ソフトウェアの売買契約」以外にも「システム保守契約」「情報処理の委託契約」「サーバーレンタル契約」「オンラインサービス契約」などといった無体物の商品を提供するために、一般的な契約に関する法的知識はもちろん、それぞれの分野に関連する法的知識も踏まえながら、それぞれの事情に合致した契約を交わしていく必要があります。
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