ビジネス関連発明の特許性(第4回) - 特許 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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ビジネス関連発明の特許性(第4回)

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ビジネス関連発明の特許性

~人民法院による特許性の判断~ (第4回)

Micro Motion Inc.,(米国)
原告
v.
知識産権局復審委員会
被告

河野特許事務所 2010年7月29日 執筆者:弁理士  河野 英仁

3.人民法院での争点
請求項1に係る発明は技術三要素要件を具備するか?
 審査指南第2部分第一章には特許を受けることができない「知的活動の規則と方法」の例として以下を挙げている。
組織、生産、商業実施及び経済等に関する管理方法及び制度
コンピュータ言語、計算規則
数学理論及び換算方法
各種ゲーム、娯楽の規則及び方法
情報表現方法 計算機プログラムそのもの


 このように審査指南においては、「商業実施及び経済等に関する管理方法」を挙げ、ピュアなビジネス方法を専利法による保護対象から明確に排除している。

 審査指南第2部分第九章は以下のとおり規定している。
出願に係る解決案が、コンピュータプログラムを実行する目的は技術的課題を解決することにあり、コンピュータ上でコンピュータプログラムを実行し、それにより外部または内部対象に対する制御または処理により反映するものが自然法則に則した技術手段であり、かつ、ここから自然法則に則した技術効果を得る場合、専利法第2条2項にいう技術案に該当し保護対象となる。

 例えば、コンピュータプログラムを実行する目的が、工業、測量または検査プロセスの制御を実現するためのものであり、コンピュータが実行するプロセス制御プログラムを通じて、自然規則に基づき当該工業プロセスの各ステップに対する一連の制御を完成し、これによって自然法則に適合した工業プロセス制御の効果を得る場合、出願に係る解決案は専利法第2条第2項にいう技術案に該当し、保護対象となる。

 本願請求項1に係る発明はピュアなビジネス方法ではなく、専利法第25条に規定する非特許事由に該当しないことは明らかである。本願請求項1に係る発明は、ビジネス的な側面を有するが、各ソフトウェア処理がハードウェア資源を用いて具体的に記載されている。このような発明が、専利法第2条第2項にいう「技術案」に該当するか否かが問題となった。


4.人民法院の判断
請求項1に係る発明は技術三要素要件を具備しない
 人民法院は、
コンピュータプログラムの目的が技術的課題を解決するものではなく、コンピュータ上で実行されるプログラムが外部または内部対象に対し制御を実行し処理することにより反映されるものが自然法則の技術手段を利用するものではなく、得られるものが自然法則により拘束される効果でない場合、専利法第2条第2項に規定する技術案に属しない。
と審査指南第2部分第9章第二節の技術3条件の原則を述べた上で、781出願について以下のとおり判断した。

本願明細書において明確に指摘している解決課題は、運送処理過程により運送物資の数量を最大化し、また物資を積載・運輸するコストを最小化することにある。従って本願が解決しようとする課題は管理上の問題であり、かつその特許請求の範囲に記載された解決案は公知のハードウェア構造において構成した現有する運送システムの基礎上のものであり、管理物質の運送数量及びコストに対する特定アルゴリズムに係るコンピュータプログラムを用いて実行されるものである。従って、専利法における技術問題ではなく、このことから奏される効果もまた技術性を有さず、保護対象に属さない。

 すなわち本願発明の解決課題は技術的な課題ではなく、効果も数量最大化及びコスト低減という非技術的効果であることから、法上の発明に該当しないと判断されたのである。
                                  (第5回へ続く)

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