- 中島 通泰
- Urbanscape アーバンスケープ チーフデザイナー
- 愛知県
- ガーデンデザイナー
対象:エクステリア・外構
- 久保田 優一
- (ガーデンデザイナー)
ロートアイアンとは鍛鉄と訳されますが、鉄を熱した上で叩き、ひねり、曲げなど様々な加工を施す鍛造技術を用いた製品のことを指します。イギリスやドイツ、イタリアなどで様々な歴史的な背景から発展した鍛鉄製品は今も愛され続けており、街には伝統的なデザインのフェンスや門扉を良く見かけます。クラフトマンによって手作りされる味わい深いその表情はここ日本でも人気が高く、結婚式場や洋風住宅を中心に採用されています。
個人的には洋風イメージに囚われない落着いた雰囲気のデザインが好きです。また、オーダーメイドならではの異素材との組み合わせにも魅力を感じております。
最近ではアルミ鋳物で出来たメーカー既製品にも雰囲気のいい物が出てきたり、アルミ製で軽く且つオーダーメイド対応の出来る物もあります。
設計する立場としてはお客様の要望に合わせて選択肢が増えていいことだと思っております。
ただこの分野でも多様化が進んだことで、いざ自分の家に採用するときにはある程度の知識が必要です。参考になればと思い今回のコラムのテーマにしました。
まずは素材と製法について分類し、4項目について特徴をご説明します。
1.ロートアイアン(鍛鉄)
A デザイン
熱した鉄を加工して部品を作って製作します。豊富なデザイン、サイズに対応できます。
上品な風合い、質感、重厚感があります。
B 防錆効果
輸入品のアイアン小物などは黒い塗装のみという仕上げが多く、すぐに錆びます。高額なロートアイアン製品ではほとんどが溶融亜鉛メッキにより10年から15年ほどの防錆効果が得られます。
C 強度
衝撃などにも強く丈夫ですが、重いと感じる場合もあります。
D デザイナーとしての雰囲気の印象。
あえてアンティークな雰囲気に魅せる古美仕上げなど表面の雰囲気、手に触れた時の重厚感では
他より優れています。本物を求める方にお奨めです。
2.鋳鉄
型に流して作ります。鉄の鋳物はこの分野では小さなフェンス程度などだけであまり存在しないので説明を省きます。
3.アルミ鋳物
A デザイン
アルミを鋳型に流す製法で一般的にはアルミメーカーが門扉やフェンスをラインナップしています。
デザインは型次第なので特注するにはコストが掛かります。
B 防錆効果
アルミ自体は錆びにくい素材です。ただ海のそばでは塩害に注意が必要です。
C 強度
アルミ鋳物は一定の強度があります。細い部分、薄い部分は弱くなりますがメーカーの物は考慮されていると思います。
D デザイナーとしての雰囲気の印象
表面の雰囲気は最近の物は良くなっているので気にならないレベルだと思う。
オリジナルデザイン、特注寸法には向かないが既製品をうまく使ってプランしたい。
コストを抑えつつ雰囲気を出したい方にお奨め。
4・ロートアルミ
A デザイン
アルミを用いてロートアイアンの雰囲気を出すために中空パイプなどを特殊な技術で加工、組み立てをする。ある程度のデザイン、特注には対応できる。
B 防錆効果
アルミ鋳物と同じく、アルミ自体は錆びにくい素材です。ただ海のそばでは塩害に注意が必要です。
C 強度
アルミ材の厚みに影響される、鉄よりも接続部分は弱い。無理のある設計でなければ問題ないかと思います。
D デザイナーとしての雰囲気の印象
ロートアイアンの持つ雰囲気には勝てないものの、シンプルなデザインなら問題ない。
コストを抑えつつ、オリジナルがいいという方、軽い方が安全だという場合に有利。
写真は最後のロートアルミを用いた事例です。それぞれの製品の中にもデザインや予算の幅での選択肢がたくさんございます。皆様もイメージや条件に応じてじっくりセレクトして下さい。
urbanscape ホームページにも事例を紹介しています。
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