【日本人の“接客力”は航空会社が牽引? - 対人力・コミュニケーションスキル - 専門家プロファイル

宮本 ゆかり
マイウェイネットワーク 
ビジネススキル講師

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閲覧数順 2024年04月19日更新

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【日本人の“接客力”は航空会社が牽引?

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中国に住んで発見したこと ビジネス事情
以前、上海の日本領事館で講演会が開催された時の話です。
講演者は、ANA〔全日空〕で取締役をされている女性。
〔航空業界では、女性として初めて取締役に就任されたとのこと〕

彼女は現在、主に客室乗務員の教育に携わっておられます。

競争が激しい航空業界で、他社と差別化して生き残っていくには「心のこもったサービスによる、お客様との信頼関係だ」ということで、徹底した教育〔笑顔、細かい気配り、どんな質問にも対応できる知識力向上〕が行われています。

どんなに最新の設備を導入したとしても、それらは後から他社も簡単に追随してマネすることができます。
でも、「当たり前のことを当たり前に徹底してやれる」というサービスの力〔プロの接客〕は、一朝一夕にはマネできません。
見えないところで、教育に対する情熱をもって、たゆまぬ努力が行われているからこそ、我々顧客は良質なサービスを受けられるのです。

たまたま2、3度良いサービスができた・・・ではいけない。どんな時でも毎回確実に、すべての乗務員が、完璧に良いサービスを提供し続けられること。
これによって、初めてお客様の信頼を獲得し、また次も「全日空」を選択してもらえる、という信念が伝わってきました。

講師の方のエピソードにこんな厳しい失敗談もありました。

ある時、食事をし終えたお客様に気づいたそうです。
ちょうどその時、挽きたてのコーヒーが良い香りを放っていたので
「これをあのお客様にもっていって差し上げよう・・・」と思い、サービスしたところ、お客様からは「コーヒーは嫌いだ。余計なことはするな」と怒られたそうです。

本当にサービスって難しいものです。
いかに相手の心を先回りして読むか?という能力に長けていないと、できません。

ちなみに全日空の採用基準として大切にしていることは「見返りを求めない心」だそうです。

「こうしてあげたんだから、感謝してもらって当然でしょ」という気持ちのある人は、絶対に良いサービスはできない。

やっても、やっても、やってあげたことを忘れて、次はもっとお役に立ちたい、
お客様を喜ばせてあげたい・・・そういう気持ちがある人じゃないと、一流の接客はできないのです。
これは、どんな業種のサービスにも当てはまることです。

しかし、ここまで厳しく徹底した基準が保たれているのは、やはり航空業界がトップレベルではないでしょうか。

よく社員教育の会社を立ち上げたり、社員のマナー研修の講師をされている方の中に「元スチュワーデスでした」という方を頻繁にお見かけします。
現役時代に培ってこられた意識やノウハウを、引退後も、こうして全国、様々な分野で教育しておられるということは・・・日本の産業全体のレベルを底上げする力にもなっているのではないかと思いました。

いや、それどころか、今回の講演では、参加していた多くの中国人にも影響を及ぼしていました。
残念ながら、今の中国の航空業界はまだまだ日本のレベルには追いついていません。
講演会に参加していたある中国人女性の話によると、機内で乗務員と顧客が喧嘩をして裁判で戦うという事例もあるとか・・・。
とても「信頼関係」という次元には至っていません。
でも、こうして心ある中国人の方々が、日本から良い接客マナーを学ぶことで、ぜひ中国の産業界のレベルもアップして欲しいものだと思いました。