- 尾上 雅典
- 行政書士エース環境法務事務所
- 大阪府
- 行政書士
対象:企業法務
- 尾上 雅典
- (行政書士)
- 河野 英仁
- (弁理士)
ゼネコンは既に対策済み
NIKKEI NETマネー&マーケットニュース
<東証>大成建が伸び悩む 「建設産廃、元請けに責任」で
記事の関連部分を抜粋します。
「環境省は産業廃棄物の不法投棄を防ぐため、ゼネコンなど元請け事業者に排出責任を負わせる方針を固めた」との日経ニュースが12時半、QUICK端末などを通じて伝わった。ゼネコンなどの負担が増すとの見方から、目先の利益を確定する売りの勢いが増した。
大成建のほか、大林組(1802)や清水建(1803)、鹿島(1812)なども後場入り後に上げ幅をやや縮小している。
確かに、NIKKEI NETマネー&マーケットニュースが報じているように、「建設工事における排出事業者を元請会社に統一しよう」という動きがあるのは事実です。
当コラムでも、廃棄物処理制度専門委員会報告書の内容を解説してきたところです。
平成22年度廃棄物処理法改正の可能性(第2回)
今回の報道を見ると、「今までゼネコンは元請会社として排出事業者責任を全うしていなかったのか」と、感じる方が多いかもしれませんが
実際のところは、ゼネコンが元請会社として施工する工事現場は、現在既にゼネコンが元請会社として排出事業者責任を全うしているところがほとんどです。
そのため、法律改正によって、廃棄物処理法の中に「建設工事における廃棄物の排出事業者は『元請会社』にある」と明記されたとしても、ゼネコンは最初からそのような運用をしている以上、法律が改正されたからといって業績が悪くなるということはあり得ません。
ゼネコンの株価動向を正確に把握していないため、記事のとおり、ニュース速報の影響でゼネコン企業の株価に影響が出たのかどうかはわかりませんが、株式投資という面に限って言えば、日経ニュース速報を真剣に受け止める必要はなさそうです。
ただ、ゼネコンより小規模の建設会社が元請となっている場合は、法律で「元請会社が排出事業者となる」と画一的に規定されてしまうと、現状の「元請」と「下請」が流動的に役割を分担している状態が否定されることになります。
建設会社の場合は、そのための対応をしっかりと考えておくことが必要です。
運営サイト 産業廃棄物許可コンサルティングセンター
著書 「最新産廃処理の基本と仕組みがよ〜くわかる本」