- 尾上 雅典
- 行政書士エース環境法務事務所
- 大阪府
- 行政書士
対象:企業法務
- 尾上 雅典
- (行政書士)
- 河野 英仁
- (弁理士)
産業廃棄物処理委託の注意点(第8回目)
前回のコラムでは、「抜けてはいけない契約書の内容」について解説いたしました。
今回は、「委託契約書の管理」を解説します。
委託契約書は、契約終了日から5年間保存しなければなりません。
契約の日から5年間ではなく、契約が終了した日、すなわち契約書の本来の役割が終わったときから5年間です。
「契約が終わったので、契約書を破棄してしまった」ということがないよう、注意をしておいてください。
ここまでは、基本的な義務として認識している方が多いのですが、委託契約書と一緒に5年間保存しなければならない書類があることをご存知でしょうか?
それは、産業廃棄物処理業の許可証の写しです。
廃棄物処理法施行規則第8条の4において、「委託契約書に添付すべき書類」として、委託先の産業廃棄物処理業許可証の写しが規定されています。
契約終了後の保管時については、例えば許可証のコピーを最新のものに保つ必要はありませんが
契約中の許可証のコピーについては、常に最新のものを保管しておく必要があります。
契約の更新を自動更新にしていると、委託先の会社の許可期限が切れていることに気づかない場合がよくあります。
しかし、委託先の許可証は、委託契約書と一緒に保存すべき書類ですし、
相手先の許可内容を確認するのは、委託者のもっとも重要な義務ですので、
期限が切れた許可証をそのまま放置することがないようにしましょう。
なお、更新許可申請手続き中のため、許可期限が過ぎた直後に新しい許可証がまだ発行されていない、という場合は、申請書の控え(受付印が入っているものが望ましい)を委託先の処理業者から送ってもらい、新しい許可証ができるまで、それを契約書と一緒に保管するようにしましょう。
許可期限前に更新申請をしている事業者については、許可期限が過ぎた後でも、適法に産業廃棄物処理業を営むことが認められています。(廃棄物処理法第14条第8項)
もちろん、更新申請後、不許可処分になったような場合は別です。
この場合は、無許可業者になってしまいますので、契約を即刻解除しなければなりません。
次回に続く。
運営サイト 産業廃棄物許可コンサルティングセンター
著書 「最新産廃処理の基本と仕組みがよ〜くわかる本」