- 尾上 雅典
- 行政書士エース環境法務事務所
- 大阪府
- 行政書士
対象:企業法務
- 尾上 雅典
- (行政書士)
- 河野 英仁
- (弁理士)
産業廃棄物処理委託の注意点(第2回目)
最適な委託業者を見つけたいと思うときに、やってはいけないことがあります。
それはどんなことでしょうか?
答えは
見積の条件を具体的に示さずに、処理料金のみを提示させることです。
産業廃棄物の種類は全部で21種類ありますが(20種類+輸入廃棄物)、同じ「廃プラスチック類」であっても、それが排出される状況は千差万別です。
塩ビ管のような硬い硬質系のプラスチックや
ポリ袋などのように柔らかい軟質系のプラスチック
そして、廃プラスチック類が排出される場所によっては、有機物が付着することもあります。
このように、同じ種類の産業廃棄物であっても、それぞれの廃棄物ごとに最適な処理・リサイクル方法はまったく異なります。
具体的な廃棄物の性状や注意点を知らせずに、「委託料金だけを持って来い!一番安い会社と契約する!!」というのは、将来において予測されるリスクを完全に無視していることになります。
なぜなら
委託料金を安く提示してくるということは、採算を度外視した自転車操業が常態の企業であることが多く、
そういった廃棄物処理企業は、目の前の廃棄物を処理することのみに集中し、場合によっては、もっと安く処理してくれる(大概は違法)業者を、下請として使っているケースが多いからです。
委託者、すなわち排出事業者の了解を得ずに、勝手に産業廃棄物処理を下請に回すことを「再委託」といい、廃棄物処理法では刑事罰によって禁止しています。
また、仮に、提示された委託料金が妥当なものであったとしても、
その処理業者のところで適切に処理できない産業廃棄物の場合は、やはり「再委託」という下請に回されることになります。
「廃棄物の種類」や「含有成分」、「発生状況」などの具体的な業務の積算条件を示さずに、いきなり「処理料金を提示せよ」と求めることは
「廃棄物をとにかく目の前から持って行ってくれ!安くしてもらった分、ウチが見えないところで適当に処理して構わない」と、宣言しているのと同じなのです。
万が一、委託先の下請業者などが、不法投棄をしたような場合、元々の排出事業者と下請業者の間には契約関係が一切ありませんが、「排出事業者自身による処理責任」が法律で義務と定められている以上、排出事業者への責任追及は厳しく行われることになります。
次回に続く。
運営サイト 産業廃棄物許可コンサルティングセンター
著書 「最新産廃処理の基本と仕組みがよ〜くわかる本」