- 尾上 雅典
- 行政書士エース環境法務事務所
- 大阪府
- 行政書士
対象:企業法務
- 尾上 雅典
- (行政書士)
- 河野 英仁
- (弁理士)
国際貢献の一環としての廃棄物の輸入
(第1回目)廃棄物の輸出入 の続きです。
中央環境審議会 廃棄物・リサイクル部会 廃棄物処理制度専門員会において、現行の廃棄物処理制度の問題点の一つとして、「廃棄物の輸出入」が議論されました。
廃棄物の輸出入
・他国で処理が困難な廃棄物を日本に受け入れて処理する取組を推進するため、輸入許可の要件を見直すべき
・海外において廃棄物が不適正処理されることのないよう、輸出確認の対象となる廃棄物を整理するべき
というものです。
今回は「廃棄物の輸入」に関する解説です。
バーゼル法に基づく廃棄物の輸出に関する統計は次回のコラムでお示ししますが、廃棄物の輸出量と輸入量を比較すると、日本は輸出の方が大幅に多くなっています。
製品の輸出入とは違い、廃棄物の輸出入の場合は、お金も廃棄物と一緒に動く、つまり輸出超過ということは、赤字ということになります。
貿易とは違いますので、無理やり黒字に持っていく必要もないのですが、科学技術の進んだ先進国としては、他国でリサイクル困難な廃棄物を日本に受け入れることも立派な国際貢献です。
第9回廃棄物処理制度専門委員会において、報告書(案)がまとめられつつありますが、その中で、廃棄物の輸入に関する方針が示されています。
途上国では適正処理が困難であるが、我が国では処理可能な自社の国外廃棄物を、対応能力の範囲内で受け入れて適正に処理する取組が進められており、このような活動は、国内における適正処理が確保される限りにおいては、広義の排出事業者責任や製造事業者責任を全うするものであり、また、輸出国の環境負荷を低減させるものであることから、地球環境保全の観点からも積極的に推進していくべきものである。
このため、自社の国外廃棄物を輸入して処分する製造事業者についても、輸入許可申請を可能とするべきである。
レアメタルが使用されている電子機器や、世界的な規制が予定されている水銀など
日本が得意とするリサイクル対象物は多々ありますので、今後もホットな議論が期待されている項目です。
運営サイト 産業廃棄物許可コンサルティングセンター
著書 「最新産廃処理の基本と仕組みがよ〜くわかる本」