廃品回収にはご注意を! - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

尾上 雅典
行政書士エース環境法務事務所 
大阪府
行政書士

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閲覧数順 2024年04月18日更新

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廃品回収にはご注意を!

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廃品回収とは




 このコラムで使う「廃品回収」とは、「古紙」「空き缶」「古着」「くず鉄」などを回収されている、本来のリサイクル業者さんのことではありません。

 「古紙」などを回収する業者さんは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」で、「専ら再生利用の目的となる廃棄物のみ」を回収する事業者として、廃棄物処理業の許可が不要となっています。

 この許可不要な回収対象物を「専ら物(もっぱらぶつ)」と略称しています。

 今回このコラムでご説明する廃品回収業とは、「専ら物」以外の廃棄物、具体的には「電化製品」などを回収する行為を指します。


廃品回収業者とのトラブルが増えています



 独立行政法人国民生活センターの公表によると

 全国の消費生活センター等に寄せられる廃品回収サービスに関する相談が増えています。

 相談の内容としては、「当初“無料”をうたっていたのに作業後に料金を請求された」「見積りより高額な料金を作業後に請求された」などが目立ちます。

 とあります。


 「無料でテレビを回収します」という音声をマイクから流しながら、軽トラックなどで住宅地を巡回する姿が一般的ですが、「無料」という言葉につられて、あれもこれもと廃品を手渡していくと、安くはない引取り費用を請求されるというトラブルが続発しているわけです。


 「無料」と触れ込みながら「引取り費用」を請求するわけですから、悪徳商法であることは間違いありませんが、このような行為は法律上問題にならないのでしょうか

 廃品回収業者の行為を分解すると

1.一般家庭で使用しなくなったテレビなどの電化製品を

2.「引取り費用」、あるいは「リサイクル料」と称して、料金を請求する

 という2つに分解して考えることが可能です。


廃家電の法律的な位置づけ




 廃家電などの廃品は一般家庭から発生した不用品ですので、それを「邪魔だから処分しよう」という意思の元で処分を進める場合には「一般廃棄物」になります。

 「いや 私は使わないけれど、まだ使える電化製品だから、リサイクルショップに買取ってもらおう」と思い、リサイクルショップに持ち込む場合は、「一般廃棄物」ではなく、「古物営業法」でいうところの「古物」になります。


 そのため、「このTV もう使えないから引取ってください」と、元々の所有者が思っている場合は、その廃品等は「一般廃棄物」として扱う必要があります。


廃品の回収に必要な許可




 我々が使わなくなった*1廃品は「一般廃棄物」になるわけですが、それを引取る側の事業者には、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づく、一般廃棄物処理業の許可が必要となります。

 仮に無償で廃品を引取ったとしても、「再使用」が前提でない以上は、一般廃棄物処理業の許可が必要です。

 一般廃棄物処理業の許可を具体的にご説明すると

 「一般廃棄物を運搬する場所の市町村長の許可」 となります。

 例えば、大阪市の一般廃棄物を、堺市まで運びたい場合は、大阪市長と堺市長の両方の許可が必要となります。

 しかし、産業廃棄物とは違い、一般廃棄物の場合は各市町村の廃棄物処理計画によって、申請をしても全員に許可が下りるわけではありませんので、事実上、日本全国の市町村長から許可をすべて取得することは不可能です。

 いえ、正確にいうならば、ある自治体に「一般廃棄物収集運搬業」で新規参入すること自体が著しく困難です。

 そのため、廃品回収業者の大部分は、無許可で一般廃棄物の回収を行っています。
 ※繰り返しになりますが、冒頭でご説明した「専ら物」の事業者は、廃棄物処理業の許可取得が不要です。


 これらの観点から考えると、

 TVなどの廃品回収を有料で行っている事業者で、一般廃棄物収集運搬業などの許可を持っていない場合は、すべて違法営業ということになります。


 このようなモグリの悪徳業者とは関わりを持たないことが賢明です。

 廃品を家に大量発生させる前に、必要ないものは買わないことが大前提ですが

 どうしても処分したいものが出た場合は、市町村の粗大ゴミや不燃ゴミとして回収してもらうのが一番です。

 多少の費用はかかりますが、市町村が回収物を不法投棄することは有り得ませんし、キチンと料金体系も決められていますので、高額の回収費用を請求されることもありません。

 また、TVやクーラーなどは、「家電リサイクル法」に基づき、適切にリサイクルする必要がありますので、「無料」という宣伝文句につられることなく、ちゃんと「家電リサイクル券」を購入し、家電量販店などに引取ってもらいましょう。


 運営サイト 産業廃棄物許可コンサルティングセンター
 著書 「最新産廃処理の基本と仕組みがよ〜くわかる本」
*1事業活動に伴うものを除く