- 尾上 雅典
- 行政書士エース環境法務事務所
- 大阪府
- 行政書士
対象:企業法務
- 尾上 雅典
- (行政書士)
- 河野 英仁
- (弁理士)
これは、廃棄物処理法第3条で
事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。
と定められているためです。
産業廃棄物なら、産業廃棄物管理票(マニフェスト)の運用が必要な廃棄物として、排出事業者責任が広く(いまだ十分とは言えませんが)認識されているところですが、事業系一般廃棄物の場合は、排出事業者責任がそれほど認識されていません。
上記の廃棄物処理法第3条は、事業活動に伴って生じた廃棄物としか規定されておらず、「産業廃棄物」「一般廃棄物」の区別無く、「すべての廃棄物について責任を持って処理せよ」という意味になります。
とは言え、すべての事業系一般廃棄物を、排出事業者自らの力で処理させるということは、石油や電気などのエネルギーの無駄遣いですし、小規模施設での不適切な焼却ばかりが増え、逆に環境を悪化させることになります。
そのため、現実的な対応としては、市町村の大規模な焼却炉において、生活系一般廃棄物と一緒に事業系一般廃棄物を一緒に焼却処分しています。
ただ、事業系一般廃棄物の場合は、生活系一般廃棄物と違い、市町村の焼却炉で処理してもらうための料金を負担しなければなりません。
「元々は、排出者が処理しなければならないところ、行政が代わりに燃やしてあげるのだから、一定の料金を負担しなさい」ということになります。
山梨日日新聞に、甲府市における事業系ゴミ対策の実情が紹介されています。
2723事業所にイエローカード 家庭ごみ収集所へ不法投棄 甲府市・法令順守呼び掛けより一部抜粋
飲食店や事務所のごみを家庭ごみ収集所に出すと不法投棄です−。甲府市内で、家庭ごみの収集所に事業所がごみを出すケースが後を絶たず、市がこれまでに2723社を指導したことが28日までに分かった。違反事業所の多くは自己処理が求められていることは認識していたが、量が少なかったり、経営が厳しいことなどを理由に、家庭ごみ収集所に出していた。「業者に依頼している」と説明しながら、業者名が答えられなかった事業所も63社あった。市は事業所への訪問指導を継続し、法令順守を呼び掛けている。
市町村が、「事業系ゴミを、家庭ゴミの置き場所に出してくれれば、無料で持っていってあげますよ」と言ってくれる場合は別として、ほとんどの自治体は事業系ゴミを処理する際には手数料を徴収しています。
今一度、事業系廃棄物の出し方に問題が無いか再点検してみてくださいね。
運営サイト 産業廃棄物許可コンサルティングセンター
著書 「最新産廃処理の基本と仕組みがよ〜くわかる本」