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寺崎 芳紀
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閲覧数順 2024年04月18日更新

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介護事業所におけるマネジメント③

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こんにちは!介護経営コンサルティング・介護施設紹介「株式会社アースソリューション」の寺崎でございます。


今回は「介護事業所におけるマネジメント」の3回目ということで、介護事業所に求められうる管理者像についてお話したいと思います。


前回も申し上げたのですが、介護事業所における管理者は、経営者が兼務するケースや多職種と兼務するケースが非常に多い(特に小規模企業の事業所)のが実情です。


介護事業は公的保険ビジネスであり、売上のアッパーが決まっています。

さらに人員基準という縛りがあり、最低点必要な人員配置が法令によって定められている関係で、一定の人件費がかかってきます。

売上のアッパーがほぼ決まっていて、更に人件費をいたずらに削ることができない以上、人件費率の高騰をいかに抑えるかが肝心です。


でも、人手が足りない。

なので、経営者が自ら現場に出たり、管理者が相談員等を兼務したりするケースが出てくるわけです、


このように、管理者がマネジメントに専念できている方はそれほど多くないように思うのですが、これは果たして「あるべき姿」なのでしょうか。

これは非常に難しい問題です。


以下は私の個人的な考え方であり、当然ながらこれが正しい答えであるはずはないのですが、私が考える管理者像とは・・・


①介護事業所の管理者には「現場感」がなくては務まらない。

「現場感」とは何を意味するのか。

これは抽象的でわかりにくい表現かもしれませんが、私は別に介護職員と同じくらい現場に入る必要はないと思います。

忙しいときや緊急時は別ですが、そうでなければ現場は現場に任せるべきです。


しかしながら、ここでいう「現場感」は、介護職員さんたちの気持ちを理解するために、ご利用者様やスタッフに目を向けているか、ということだと考えます。

介護事業所における管理者は、ただ事務所にこもってパソコンをいじったり電話をしたりするだけが仕事ではありません。

もちろん、数々の書類を作成したりする仕事もたくさんありますので、どうしても事務所にこもらざるを得ない場合もあります。

しかし、利用者さんとすれ違っても挨拶すらしない、利用者が現場で頑張っている姿を見ようともしない、こんなマネジャーが事業所にいたら、私は間違いなく士気が下がると思います。


極端な表現の仕方をしていますが、管理者と現場との壁ができてしまっているうちは、私はうまくいかないと思っています。


私自身の経験談をお話しすると、初めて管理者に就任した際、正直現場経験がなかったために、スタッフとは壁ができていました。

介護をロクに知らない管理者がいきなりやってきて、スタッフさんにはさぞかし不信感があったことでしょう。よくわからない人がいきなり自分の上司になったわけですから。


私は当時、介護のことなどよくわかっておりませんでした。

そんな状況で、介護の現場の方からいきなり信頼を得ようと思っても、とてもできません。

はっきりいって、最初のうちはナメられていました。


介護の経験がなかったからといって、私がそれまで何もしてこなかったわけではなく、その辺の方には負けない位の経験は積んできたつもりでした。しかし、現場スタッフにはそんなこと、どうでもよい話です。


頭では、現場の方々を理解し、寄り添う必要性を感じていました。介護に限らず、どの業種でも同じですから。


しかし、毎日スーツを着てネクタイを締めた人間が介護事業所にやってきて、現場スタッフと同じ目線で接しようと思っても、相手にはなかなか伝わりません。


就任後2~3日は少し様子を見ていましたが、すぐにスタッフとの温度差を悟った私は、すぐに行動を起こしました。

まず、事務所にいるときはユニフォームを着ること。

会社からは、管理者はスーツとネクタイ着用を義務付けられていたので、完全に制服姿で仕事をすることはできなかったのですが、少なくとも上だけはYシャツの上にユニフォームを着用し、1日それで過ごすことにしました。


次に、事務所にいるときは、常に出入口を開放することにしました。

私は前任者から引き継ぐ形で管理者となったわけですが、前任者はいつも事務所のドアを閉めていて、非常に入りにくい環境を作っていました。当時私は本部のマネジャーとして常駐していたのですが、そんな私でも非常に居心地の悪い環境でした。


閉鎖的な環境を作っていては、スタッフの心を閉ざすだけです。

事務所の出入り口に、「お気軽にお声掛けください」という張り紙を掲示し、ご利用者様やご家族、スタッフさんが気軽に声をかけられるような環境をつくりました。もちろん、プライバシーには最大限配慮をした上での話です。


さらに私は、現場に顔を出すことにしました。

特に現場が忙しい時間帯、例えば食事時や入浴介助時等、自分ができる範囲で手伝うことにいたしました。食事の配膳下膳や掃除、ご利用者様の誘導や見守り程度なら、経験がなくても何とかできます。

そのうち、それだけでは私が満足できず、ヘルパー2級(初任者研修)を取りましたが・・・


デイサービスの送迎も、毎日運転あるいは添乗を行いました。

どうしても所用でできない場合を除き、毎日欠かしませんでした。


そうしているうちに、スタッフさんは少しずつ私に心を開いてくれるようになりました。

とはいっても、やはり上司と部下の関係には変わりませんから、完全に心を開いてくれているとは思えませんでしたが、少なくともナメられることはなくなり、感謝の言葉もいただけるようになりました。


人員不足は深刻で、せっかく採用しても長く続かず辞められてしまうということも多くて、凹むことも多々ありました。しかしそれでも、辞めずに踏ん張ってくださるスタッフさんもたくさんおり、支えていただけたことは今でも感謝しております。



以上、私の拙い経験談をお伝えしましたが、介護事業所において管理者は、ただ事務室にこもっているだけでは信頼されません。現場に目を向ける努力が絶対に必要なわけであります。


次回は、介護事業所に求められる管理者像②「管理者にはバランスが必要」という点についてお話したいと思います。





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(東京都 / 経営コンサルタント)
株式会社アースソリューション 代表取締役

介護事業所の開設から運営まで、オールワンでお手伝いいたします

有料老人ホーム施設長・訪問・通所介護管理者・老健相談員、事業所開発等の経験を活かし、2007年7月に弊社を設立しました。介護施設紹介サービスをはじめ、介護事業所の開設・運営支援等を行い、最近では介護関連の執筆活動にも力を入れております。

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