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寺崎 芳紀
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閲覧数順 2024年04月23日更新

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自立支援・重度化防止の観点からの「アウトカム評価」

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こんにちは!介護経営コンサルティング・介護施設紹介「株式会社アースソリューション」の寺崎でございます。


2021年度介護報酬改定において、自立支援・重度化防止を期した事業者が、実際に成果を上げた場合に計上できる加算が、今回初めて示されました。


従来、老健等で算定できる「排せつ支援加算」と「褥瘡マネジメント加算」を見直す形となります。


(報酬単位及び算定要件)

①排せつ支援加算(Ⅰ) 10単位/月 褥瘡マネジメント加算(Ⅰ) 3単位/月

・すべての入所者に対してスクリーニングを実施

・支援が必要とされた入所者に対して、多職種連携により支援計画書を作成し、以後PDCAを回す。

・データを厚生労働省(LIFE)に提出


②排せつ支援加算(Ⅱ) (Ⅰ)に5単位/月を追加  排せつ支援加算(Ⅲ) (Ⅰ)に10単位/月を追加

下記のうち一方を満たした場合は(Ⅱ)を、両方満たした場合は(Ⅲ)を、(Ⅰ)に追加される(ただし、該当する入所者のみ算定可能)。

(1)排尿、排便のうち一方が改善

(2)おむつ「あり」から「なし」に改善


③褥瘡マネジメント加算(Ⅱ) (Ⅰ)に10単位/月を追加

実際のケアにより、褥瘡の発生を防いでいることが要件で、(Ⅰ)に追加で加算算定可能。

ただし、計画を作成して実際にケアを実践されている人数のみ、算定可能。


④加算算定対象サービス  特養、老健、介護医療院、看護小規模多機能型居宅介護


という具合です。

上記(Ⅱ)及び(Ⅲ)が、アウトカム評価による加算になります。同時に今回、看多機も対象サービスに含められました。


これについてはツッコミどころが満載です。私はこの加算、ほとんど機能しないのではないかと思っています(特に(Ⅱ)や(Ⅲ))。


まず、排せつ支援加算から。

現行の加算は100単位/月であり、算定要件は下記の通りとなります。

・適切な支援により要介護の改善が見込めると医師等が判断したこと。

・施設医師、看護、介護、介護支援専門員等が共同で、当該入所者が排せつ介護をする必要性について分析すること。

・分析に基づいて支援計画を作成し、実践すること。


となっています。これを行って100単位/月 の加算が算定できます。

※ただし、当該加算は6ヶ月までしか算定できません。



しかし、見直し後の加算については、算定期間の制限はないものの、単位数が大幅に減った形になっています。しかも、加算額は手間に対して少なすぎる。

(Ⅰ)は何とか算定できそうですが、(Ⅱ)や(Ⅲ)は非常に難しいと思います。


特養は軽度者の入所が制限されております。原則として中重度の方(実際はほぼ要介護4か5)しか入所できません。重度の方は、基本的に全介助を要するわけですので、いくら支援したとしてもなかなか改善には結びつけられないと思います。

おむつ「あり」から「なし」にできた方が、それは望ましいですよ。

しかし、実際は不断の努力を施設側が行っていかなければ、実現は困難です。


排せつ機能の低下は、ADLの低下だけに留まりません。

認知機能の低下や、疾患によるものもあります。ADL上は何とかなっても、尿意がない方ですとトイレに間に合いません。マンツーマンでの介助がままならないところがほとんどな中、仕方なくおむつ対応としているケースが多いのではないでしょうか?


もちろん上記をもって、「努力を怠ってもよい」と言っているわけではありません。

アウトカム評価というなら、もっと評価額を上げてもらわないと。

非常に現実離れした加算算定要件です。



おむつ「あり」が「なし」になるということは、場合によっては介護度自体が改善することとイコールになり得ます。

そこまで頑張ってケアしたのであれば、当該加算を100倍に増やしてもよい位です。

100倍に増やしても、介護度の改善による社会保障費削減に比べれば安いものです。


事業者は、要介護が改善することにより、売上が下がってしまうのです。完全にトレードオフの関係です。

アウトカム評価などと言っていますが、結局のところこれでは「ケアを頑張ると売上が下がる」という構造上の深刻問題を改善することなど、まずできません。



そして、褥瘡マネジメント加算について。

これについては、現行の算定要件とさほど変わらずに、上乗せ部分が新設されました。

褥瘡を防止することは介護において必要であるゆえ、これは積極的に算定すべき加算だと思います。



褥瘡マネジメント加算については、積極的算定することによって収支に貢献することが出来得るものです。

しかし排せつ支援加算は、実際のところ企画倒れに終わる可能性が大です。


厚生労働省は、審議を重ねてこの加算を見直したのでしょうが、この加算設計が実際にどのように機能するのか、事例があるなら紹介していただきたいものです。






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(東京都 / 経営コンサルタント)
株式会社アースソリューション 代表取締役

介護事業所の開設から運営まで、オールワンでお手伝いいたします

有料老人ホーム施設長・訪問・通所介護管理者・老健相談員、事業所開発等の経験を活かし、2007年7月に弊社を設立しました。介護施設紹介サービスをはじめ、介護事業所の開設・運営支援等を行い、最近では介護関連の執筆活動にも力を入れております。

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