- 大澤 眞知子
- Super World Club 代表
- カナダ留学・クリティカルシンキング専門家
パンデミックによりカナダの高校留学を中断した高校生の中には「え!カナダの高校卒業資格も取れるの?」と思わず飛びつきたくなるような学校が日本にあります。
以前から、カナダ国内ではかなりの問題があると指摘されているBCオフショアスクールと呼ばれる高校です。
「ここがいい!」と、すぐに飛びつく前にぜひ読んでいただきたい報告です。
BCオフショアスクールは中国には非常に多く存在し、成績の嵩上げや、運営のインチキさが指摘され続け、BC州からの調査が行われその結果がMediaに公開されたのも結構最近のことです。
韓国のオフショアスクールではBC州から派遣された教師のビザに不備があり、開校後すぐに閉鎖という事件も記憶に新しいところです。
日本の高校卒業資格と同時にカナダBC州の卒業資格も取れるダブルDiplomaという売りにふら〜っと興奮してしまう親子も多いと思います。
特に、カナダ高校留学から無念の帰国をし、日本の編入先探しの最中にこんな売り文句に出会ったら誰でもコロッと行きそうですよね。
そんなみなさんへの情報です。
日本のオフショアスクールの授業内容、生徒の実際のレベルなどのデータを手に入れることはほぼ不可能ですが、一番大切な点を知っておいて下さい。
1.カナダの高校卒業資格があれば、カナダの大学進学が簡単?
いやいや、それは限りなく嘘に近いです。
カナダの大学進学に必要なのは、高校卒業資格。
日本の高校卒業資格で十分です。
日本の高校卒業資格と、3年間の成績を提出。
それプラスIELTS/TOEFLなどの英語能力テストのスコア。
それだけ。
中堅大学から有名大学まで、すべてカナダの大学入学にはそれだけが必要。
おまけのカナダ高校卒業資格は必要ありません。
2.オフショアスクールから何とかカナダの高校卒単位をもらえても、最終のBC州試験、Graduation Literacy Assessmentに合格しなければDogwood Diplomaという正式な卒業証書はもらえません。
カナダ全土の高校留学で、その試験にC+以上で合格している数が5%という悲惨なデータを見る限り、日本のオフショアスクールの生徒たちの能力がそれにはるかに勝るとは考えにくいです。
つまり、正式なDiplomaは結局もらえず、日本の高校卒業資格のみしかない生徒も多いのではと想像しています。
また、その州試験で悲しくてもB以上の成績がないと日本の親が切望するいわゆる有名大学(UBC、SFUなど)には入学許可されません。
かろうじて卒業資格は満たしても成績が悪いと、University入学は出来ず、Collegeを経由することになります。
そんなルートこそ、日本の高校卒業資格で十分に余りある大学留学方法です。
3.東京にあるオフショアスクールの進学実績です。
Graduation Literacy AssessmentというBC州の州試験で好成績をあげたと思われる生徒は2名しかいないようです。
University of British Columbia以外の大学は、そこまでの成績は要求しません。
卒業さえしていればいいという資格です。
日本の高校卒業で十分です。
University of British Columbia 以外の進学先は大学内にESLがありますので、かなりの高い確率でESLを経由しての進学だと考えます。
またしても、普通の日本の高校卒業資格で十分です。
オフショアスクールの存在価値を打ち消すような進学実績です。
4.謳い文句である「考えられる教育」は、日本の暗記教育・受験勉強教育と共存は不可能です。
その不可能を売り文句にしている以上、通う高校生は自由時間がほとんどないカリキュラムに縛られ、脳の発達に一番大切な10代後半を「抜け殻」のように過ごすこととなります。
カナダのクリティカルシンキング教育と、日本の詰め込み教育とは、脳の全く異なる部分を使います。
自分の意思で考え、行動するなど夢物語の詰め込みカリキュラムです。
普通の日本の高校の方が実ははるにに好成績を残し、高校生活を楽しむ3年間となるでしょう。
そんな高校生の方が、カナダというクリティカルシンキング社会での大学進学には、はるかに適していると思います。
カナダの大学進学を希望する場合は、同級生が受験塾でひ〜ひ〜言う間に、英語エッセイとクリティカルシンキングの効果的な特訓をすればいいだけの話です。
5.BC州はオフショアスクールと、カナダ国内での高校留学と同等に、大きな収入源と捉えています。
ただし、BC州の教育レベルを下げるほどいい加減な教育が行われていることに危惧しており、毎年調査機関を送り込み実績調査をしています。
BC州の教員団体は、そのような不安定な職場に教員を送ることに異を唱えることもあり、オフショアスクールは良質な教員を留めることに苦労しているとBC州の報告に述べられています。
もともとカナダのNDP政権がBC州をControlしている時に発足したプログラムです。
現在のLiberal政権になってからも継続しています。
でも、油断は禁物。
次に保守政権がBC州に登場した際には、中止になる可能性も指摘されているのがオフショアスクールプログラムです。
「急に中止になった場合の準備も必要だ」との報告もあります。
報告書最後のコメントをコピーしておきます。
“Why are we even in this business at all?” Hansman(BC 教員組合 Union president) said. “Is it just a money-making thing? Is it part of well-intentioned internationalism? We’re probably due for a conversation about the why.”
日本の編入先選びについてのご相談もお受けしています。
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このコラムの執筆専門家
- 大澤 眞知子
- (カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
- Super World Club 代表
カナダにいらっしゃい!
カナダ 在住。パンデミック後のNew Normal 留学をサポート。変わってしまった留学への強力な準備として UX English主催。[Essay Basics] [Critical Thinking] など。カナダから日本に向けての本格的オンライン留学準備レッスン・カナダクラブ運営。
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