- 大澤 眞知子
- Super World Club 代表
- カナダ留学・クリティカルシンキング専門家
何もしない夏休みに突入したカナダ。
学校が休校していようがいまいが、「学習の遅れを取り戻すため」と夏休みを取り上げるなどの日本のような科学無視は起こりません。
世界中のみんなが耐えているCovid-19という疫病との戦いは、大人子供を問わず脳に深刻なトラウマを残しています。
そこから回復するには「何もしないで過ごす休み」は、特に高校生にも必要。
その貴重な「休み」を取り上げられた日本の若い頭脳が壊れてしまわないかカナダから心配しています。
高校生たちが時間を持て余している裏では、教育関係者が大改革に乗り出しているのもカナダを見直しかけている出来事です。
高校教育形態が大きく変わりそうですよ、日本から留学を狙っている親子のみなさん。
留学生には吉と出るか凶と出るか。
留学生本人が並外れた元々のアカデミック能力を持っている場合は、吉ですね。
1.オンタリオ州の高校教育から消える制度
オンタリオ州では高校生になる時点で、”acadmic” か”applied”のコースを選ぶことになっています。
”acadmic” を選んだ生徒は、高校ではレベルの高いコースを履修し大学進学を目指しますが、”applied”を選んだ生徒は主に手に職をつけるコースを取り、主要科目もレベルを落とした内容で卒業します。
その選択しが実は長年社会的な差別にもつながっていたとの理由から、廃止に踏み切るそうです。
徐々になくして行き、2020/2021年度には全面撤廃予定です。
”acadmic”を選ぶのは白人生徒のほとんど。
”applied”はBlack, Hispanic系の生徒、または低所得層の生徒が大部分を占めていました。
それにより、大学進学の機会を奪われ、また低所得層のままという社会の悪循環も助長していたと思われます。
もちろん、生徒にも選択の自由はありますが、主にはそれまでの学業成績により学校がかなりの発言権を持ちます。
例えば、それまでの成績が芳しくない場合は、”acadmic”を希望しても学校が許可しないこともありました。
じゃぁ、Black, Hispanicの生徒はもともと学力が低い?
それが特にオンタリオ州の有色人種差別にもつながっていると思いますが、科学で実証すると全くの偏見だとわかります。
以前シカゴで行われたリサーチによると、親が低所得層でしかも長時間働かざるを得ない家庭の子供は、脳が非常に重要な発達を遂げる幼少期に十分な語彙を学ぶ機会がないということです。
本に興味を抱く環境もなく、読み聞かせをする余裕も親にはない環境で育つと、そのまま「本を読むこと」に全く興味のない生徒になってしまいます。
必要な語彙不足は、見事に学校の成績に影響します。
そんな生徒たちには、特別な教育も必要であるにも関わらず、科学無視で「大学進学」に届くコースから排除するのはとんでもないと、オンタリオ州がやっと判断したようです。
高校留学生、高校留学を希望しているみなさん。
あなたの語彙は、おそらくカナダの低所得層の子供たちよりも少ないです。
「わぁ〜い留学した!」と思っていても、実は”acadmic”の仲間入りはさせてもらえず、”applied”にいたという人も多かったのではと思います。
また、今後オンタリオが制度を変える過程の中で、あなたの場所はどこにあるのか。
よほどの語彙を持ち、自由に使える英語力・思考能力のある日本人高校生にしかチャンスはないでしょうね。
アルバータ州もかなり前から同じような制度を持っています。
(変える方針はないようです)
-1, -2(ダッシュワン、ダッシュツーと呼ばれます)という、前者が”acadmic”後者が”applied”というGrade10からの振り分けです。
もちろん、日本からの高校留学生のほとんどは能力不足により、-2 に入ることがほとんどですが、親子共制度を知らずに留学するケースが後を絶たないため、後で困ることになります。
カナダ現地の高校生には合理的な制度かも知れませんが、留学生にはいわゆる「カナダの中の能力低い組」に自動的に入れられている留学でした。
アルバータ州高校留学したみなさんは知っていましたか?
じゃぁ、そんな制度のないBC州とかがいい?
それも大きな問題です。
例えばレベル分けのないBC州のEnglish10を例に取ってみましょう。
ピンからキリまでの生徒が押し込められます。
現地の出来る生徒はスイスイ進み、エッセイを書く能力も高いです。
キリの生徒は宿題すらやりませんし、書いた英語を見ると驚愕に値するほど間違いだらけの文法と、論理的一貫性に欠ける幼い内容です。 (とりあえず留学した日本人留学生よりは高レベルですけどね)
もちろん、教師は、能力の高い生徒に合わせて授業を行いますので、ついていけない生徒は全くついていけません。
そして高校からドロップアウトという結果です。
BC州にいる英語力不足の日本人留学生は、English10でも教室の隅で「出来の悪いカナダ高校生」と同等の位置にいることになります。
さて、アルバータやBCは高校教育制度に手をつけるかどうか。
オンタリオの動きは大きな影響を与えると思いますので、注目しておきたいです。
先日書きました「アルバータ州エドモントン - 来学年から4学期制に」などと合わせ、カナダの動きが速いです。
2.「腐ったりんごを排除して他のりんごを守る」ように悪質な教師の摘発が続くカナダ高校。
Mediaでは報道されていないことですが、私の住む地域のBlock Watchという「地域の安全を守ろう」ネットワークからお知らせが届きました。
Block Watchとは、近所の安全を守るためにカナダ警察RCMPからの情報を共有出来るシステムです。
Delta School Districtに勤務するElazer Reshef という52歳の高校教師が起訴されたというもの。
Child pornography関係する3つの罪状です。
Elazer Reshef のサーバーからの情報により2019年よりRCMPが調査を開始、特別チームが捜査を続け法医学上の証拠に基づきこの7月2日に起訴が確定しました。
驚くことには、このとんでもない教師は今週も生徒と高校生と直接接触を行っていたそうです。
Delta地区の高校生のみならず、近隣の人たちの安全を守るため、RCMPはこの情報を広く公開することにしました。
かなりの数の生徒が犠牲になっているそうで、情報提供も呼びかけています。
Surrey RCMP ICE investigators at 604-599-0502
日本人高校生で、特にDelta学区に留学していた方、もしこの教師の犠牲になったと思われる場合は上記まで連絡して下さい。
ヘルプの必要な方はご連絡下さい。
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コロナウイルス・パンデミック禍の大きな変化が次々と起こってきています。
Deltaの教師摘発も、強い姿勢の一環だと感じます。
カナダ留学を希望する方は、長期・短期を問わず、最新の情報に注目しておいて下さい。
Watch Out!
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このコラムの執筆専門家
- 大澤 眞知子
- (カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
- Super World Club 代表
カナダにいらっしゃい!
カナダ 在住。パンデミック後のNew Normal 留学をサポート。変わってしまった留学への強力な準備として UX English主催。[Essay Basics] [Critical Thinking] など。カナダから日本に向けての本格的オンライン留学準備レッスン・カナダクラブ運営。
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