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「PTA拒む保護者へ 改革しよう手を貸して」 文京区立昭和小学校PTA会長・弁護士 大塚嘉一

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PTA

 PTAを脱退したい、入会したくないという保護者がいる。なぜだろう? 私は、2年ほど前から都内の区立小学校でPTA会長を務めている。仕事や私生活を犠牲にしてきたが、それを償ってあまりある報酬を得た。子供たちの笑顔だ。

 PTAは、学業が中心になりがちな学校の教育を補完して、子供たちの全般的な発展を促す。この見地からお手伝いしている。

 会長としては、町会をはじめ、行政関係の諸団体、警察、消防署、保護司会、おやじの会などの任意団体などと連絡を密にし、協力しあっている。子供たちがこんなにもたくさんの組織によって幾重にも守られていることを初めて知った。PTAは、その中核的組織である。

 歴史を調べると、明治維新の小学校の設置、あるいは江戸時代の寺子屋の時代から、子供たちの将来の幸せのためにと奮闘、努力したご先祖がいる。PTAは、そういった活動の正当な継承者であると思う。戦後、GHQの押し付けでできたという評価は、決して正しくない。

 PTAから抜けたい、入りたくないという保護者は、理由として、人間関係の「息苦しさ」や強制を挙げる。実際、私もPTA活動をしていて、平日の昼に大した用もないのに招集がかかるなど、かつてのボス支配の痕跡かと思われるような点もいくつか見てきた。世の中には、一部の役員などの行き過ぎた行動により心身の障害を抱えるにいたった保護者もいるだろう。そのような方々に光をあて、その対策を訴える関係者には、敬意を表したい。

 しかし、だからといって、PTAを全否定したり、活動を非難したりするのは的外れだ。戦うべきは、日本人の長年の病理ともいうべき同調圧力だ。本来、PTA活動は義務ではなく、権利である。PTAに否定的な人にこそ、開かれた組織にするための改革に手を貸して欲しい。

 保護者らが、強制ではなく、その興味と関心に応じ、できる範囲で、しかし積極的に参加することができるよう、条件を整えたい。負担軽減のため、たとえば、英語教育のお手伝い、校庭遊びの見守りなどのボランティア活動をPTA活動の一環として位置付けることも検討したい。

 子供は、未来社会からの預かりものだ。愛情をたっぷり受けて育った子供たちなら、難問に果敢に挑む人間に成長することであろう。社会全体で協力し、健全に育て上げる責任が、我々にはある。PTA活動は、その重要な一歩で、煩わしさや困難を克服してでも、やる価値がある。子供たちを育て上げるという壮大なプロジェクトに、保護者が平等に、公平に参画できることが望ましい。

(「私の視点」朝日新聞2017(平成29)年3月18日)

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