死刑宣告者の心構え(その1)−死刑と団藤重光教授 - 民事事件 - 専門家プロファイル

菊地総合法律事務所 代表弁護士
弁護士

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:民事家事・生活トラブル

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

死刑宣告者の心構え(その1)−死刑と団藤重光教授

- good

  1. 暮らしと法律
  2. 民事家事・生活トラブル
  3. 民事事件
死刑制度

 刑法の団藤重光東大名誉教授、斯界(しかい)の権威です。今上陛下に、ご進講をしたこともあります。たくさんの人が教授を慕っています。私も、司法試験の受験生時代に先生の本を読んで勉強し、弁護士になりました。
 団藤教授は、それまで死刑廃止論に「傾いていたものの」、踏み切れないでいたところ、最高裁判事になって、実際に死刑事件を担当し、法廷での死刑判決言い渡しの際、傍聴席から「人殺し!」との罵声を浴びせられ、それが契機となって、積極的な死刑廃止論に転じたことは有名です。ご自分でも認めており、著書「死刑廃止論」に書かれています。
 さて今年(2007年)2月21日の朝日新聞朝刊によると、団藤教授に「人殺し!」との言葉を投げかけたのは、死刑廃止運動家の、ある女性だとのことです。その死刑廃止運動家らは、最近まで、最高裁の法廷で、死刑判決言渡し直後に、傍聴席から、最高裁判事に対して、抗議の意味を込めて、「人殺し!」と叫び続けていたそうです。
 私は、団藤教授に向かって叫んだのは、被告人の親族だとばかり思っていました。前記の教授の「死刑廃止論」にも、「法廷の傍聴席に来ていた、おそらく被告人の家族かと思われる二、三の者から、裁判官席に向かって罵声が飛んだ」と記されているので、団藤教授も、当時は、そう思ったのです。
 教授は、今では、自分に罵声を浴びせたのが被告人の親族ではなく、死刑廃止運動家だったことをご存知なのでしょうか。

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(弁護士)
菊地総合法律事務所 代表弁護士

依頼人の法的権利を実現する─それが私どもの願いです

全国各地の相続、不動産、同族会社の案件を中心に幅広く、新都心さいたま市を拠点として、永年にわたり多数手懸け解決しています。企業法務や病院・医院、寺社の法務にも精通しております。遺留分減殺請求、株式買取請求、為替デリバティブに実績があります。

カテゴリ 「死刑制度」のコラム

このコラムに類似したコラム

死刑宣告者の心構え(その3)−裁判官の心理 大塚 嘉一 - 弁護士(2007/03/10 12:39)

死刑宣告者の心構え(その2)−死刑の根拠 大塚 嘉一 - 弁護士(2007/03/06 18:09)

マランツ8Bを修理する 大塚 嘉一 - 弁護士(2023/06/07 11:36)