安心してジビエ料理を楽しむ為のマークとは?
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こんにちは。消費者考動研究所代表 消費生活アドバイザーの池見です。
例年よりかなり早い梅雨明けとなり、夏到来ですね!
夏といえば、アウトドアでのバーベキューなどを楽しむ方も多くなるのではないでしょうか。
近年では、シカやイノシシを中心とした野生の鳥獣肉を食べる「ジビエ料理」を出す店や、ジビエの肉やソーセージなどの加工品を売るスーパーなどが増えてきています。日本人には、元々「もみじ鍋(鹿鍋)」や「猪鍋」など、シカやイノシシを食べる習慣があるのに加えて、次のような理由で国や地方自治体が対策を強化していることが、普及しつつある要因と考えられます。
人と動物との共存が崩れた悲しい現実
今、日本国内では、シカやイノシシによる農作物の被害が全国的に被害は多発しています。原因は、昔の乱獲に対する減少対策としての捕獲規制、繁殖力の強さ、「必要な分だけ獲る」ハンターの減少、開発などによる食料の減少から人里に降りてくるなどいくつか挙げられます。
農林水産省が公表したイノシシ、シカの捕獲頭数の統計によれば、平成27年度に国内で捕獲されたシカは、なんと62万頭!(その内、被害防止等の目的が45万頭、狩猟が17万頭)、イノシシが55万頭(その内、被害防止等の目的が39万頭、狩猟が17万頭)もいます。
本来ならば自然のバランス調整によりそこまで増えるはずのない数多くの命が、日々どこかで失われている悲しい現実があります。その命を少しでも無駄にしない取り組みが、いま全国各地で積極的に行われています。それが、ジビエ料理の普及活動です。
*参考・出典 農林水産省「捕獲鳥獣のジビエ利用を巡る最近の状況」より
生食は危険!消費者も知るべき食中毒リスク
その一方で、こうした野生鳥獣肉生を十分加熱処理を行わないまま食べた場合、E型肝炎ウイルスやO157など腸管出血性大腸菌、寄生虫による食中毒にかかる可能性が、一般の牛肉・豚肉・鶏肉より高い状況です。
それを踏まえて、2014年に厚生労働省が、普及してゆくジビエ料理での食中毒防止対策として、「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」を制定しました。
このガイドラインには、食用とする野生鳥獣の狩猟や運搬の方法、食肉加工処理の方法や、飲食店含む加工・調理・販売の取り扱い方法、家庭で調理する際の注意点などが細かく示されています。使用器具含めた厳格な衛生管理や加熱調理を求めていて、業者の方だけではなく、私たち一般消費者もぜひ一読したい内容です。
安心して選ぶための認証マークをチェック!
では、私たち消費者が、実際にジビエ料理を安心して楽しむには、何を目安にすればよいのでしょうか。
そこで今年5月に新たに制定されたのが、「国産ジビエ認証制度」です。この制度は、今後公募で決まる認証機関が、厚生労働省のガイドライン等一定の基準をクリアしたシカ・イノシシの食肉処理加工業者に対して、きちんと処理していると”お墨付き”を与える制度です。
そして、この認証マークは、基準をクリアした食肉処理加工工場が処理したジビエ肉や加工品につけることができます。また、認証マーク付きの肉を使った料理を提供する飲食店も、その証としてこのマークを掲出できます。
私たち消費者は、今後、ジビエ肉や加工品を買う時やジビエ料理をお店で食べる際に、この認証マークを確認して選ぶとより安心できますね。
*参考 農林水産省「国産ジビエ認証制度の制定について」
私たち消費者には、「自分の買い物が社会へどのような影響を与えるかを考える」責任があります。
毎日の買い物や食事の中で、環境と野生動物の命を大切に無駄にしないことを考えながら「選択する」ことで、このジビエの問題を少しでも良くすることが可能です。認証マークを実際にスーパーや飲食店で目にするのはもう少し先になりますが、夏・秋のバーベキューや冬の鍋料理などを選ぶ際は、ぜひ参考にされてはいかがでしょうか。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
このコラムの執筆専門家
- 池見 浩
- (東京都 / 消費生活アドバイザー)
- 消費者考動研究所 代表
消費生活の専門家が消費者教育・啓発や消費者志向経営をサポート
消費生活アドバイザーは、消費者・企業・行政の懸け橋として、法律、生活知識、消費者志向経営や環境問題まで幅広い専門知識を持つ消費生活の専門家です。企業・自治体等で培った豊富な実務経験とノウハウで、貴方の消費者力UPと企業活動をサポートします。
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