- 大澤 眞知子
- Super World Club 代表
- カナダ留学・クリティカルシンキング専門家
「留学」特に「高校留学」を費用面から決めると大きな落とし穴に入る可能性が高いです。
「安い授業料」にはそれなりと裏のカラクリが存在しますから気をつけて。
(質問)
留学費用がかなり安いと噂のカナダのノバスコシア留学はお勧めしますか? 高校留学です。
(回答)
カナダから高校生の留学事情をリサーチし、日本のみなさんに正しい情報を伝える活動をしています。
1994年以来、日本からカナダにやってくる優秀な学生の支援を続けている経験から。
お答えは:ノバスコシア圏内の大学は、費用の面、レベルの面からも考慮の意義は十分あると思います。
しかし、高校留学はお勧め出来る地域ではありません。
広大なカナダの東側、特にノバスコシア周辺は経済・雇用面で他の地域に大きく遅れを取っています。
失業率ではカナダ全土5%強のところ、ノバスコシアは8%です。
大規模な雇用も起こりにくく、若者の流出も止まりません。
ま、言わば寂びれた地域です。
その寂れようを将来に向けて解決したいとEduNovaという組織が出来、大学年代の移民と学生ビザでカナダに来る留学生獲得に乗り出しました。
幸いなことに、カナダの大学のレベルは全国ほぼ同じ。
大規模な研究で世界的な有名な大学、例えばToronto University, University of British Columbia、や特定の専門分野を誇る小規模大学もありますが、どこを卒業してもカナダの大学学位は世界でよく認識されています。
ただ、学生数が政府からの補助金にも影響する所から、EduNoveがやっきとなり学生獲得キャンペーンを組んだと思います。
学費と生活費の安さ、また永住移民出願へのサポートなど、ある程度の大学生を獲得することに成功しているようです。
その地域の大学を卒業した留学生は、その地域に魅力的な働き場所があれば、そこに留まり、社会に貢献し、税金を払う重要な住人となってくれますので、それもEduNovaは大いに期待していると思います。
残念ながら現在の所、地域での就業率は低いままです。
大学の学位を持った若者が働く場所が少ないのが、未だに大きな問題となっているノバスコシアです。
それでも、実際に、地域の小規模大学を卒業し、起業家として踏み出した中国人留学生がカナダのメデイアに紹介されていました。
起業家を育てるだけの規模にない地域が、その意欲にどう応えるかは興味のあるところです。
大学進学をノバスコシアで計画中でしたら、十分調査し、果たして日本からはるか離れたカナダの東海岸が自分に適しているかどうかを、確かめてみる価値はあると思います。
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ところが、高校留学プログラムとなると、話は全く別です。 お勧め出来ません。
大学留学生獲得にある程度の成果が出たのを横目に、経済停滞で不足する教育予算を獲得しよう!とばかりに「高校生留学生獲得」に乗り出したのが、NovaScotia International Program です。
授業料などの費用の安さを全面に押し出し、州の教育省が「留学生授業料ビジネス」に参入しました。
日本にも一生懸命のセールスを行っており、いわゆる「留学エージェント」を取り込むビジネスプランを遂行中のようです。
安い授業料などで、BC州、オンタリオ州などと比べると、授業料の15~20%をリベートとしてエージェントに払う総額は低いと思われますが、何か裏でエージェントに有利な取引が行われていると思います。
そうでないとエージェントはリベートの高いほかの地域を勧めますからね。
留学生プログラムのwebsiteを訪ねてみると、他の地域の留学プログラムに比べて明確に異なる部分があります。
30年近くに渡り日本から多くの高校留学生を無節操に受け入れている地域ということでは、お勧め出来る所ではありませんが、それでもwebsiteにはApplication【出願】についてのプロセスが紹介されています。
エージェントを通さず、自分で能力を持ち手続きをする高校生の留学が本来のプロセスだということです。
出願についての情報がありません。 留学生プログラムで出願について詳細のないwebsiteは、私の知る限り初めてです。
つまり、エージェントに生徒獲得を頼る引き換えに、エージェントの儲けを確保するために留学生が自分で手続きすることを奨励していない態度がよく現れています。
エージェントを通さずに自分で手続すると罰金があるとの相談を受けたことがあります。
学校、ホストファミリーに関しても留学生には選択の権利も、不満を言う権利もないようです。
すべてNova Scotia International Student Program の命令に従うこと。 これが安い費用の理由です。
また、受け入れ学生の質には、エージェントの顔を立てる意味で、完全に目をつぶっている様子です。
入学した生徒の日本の教育制度化での成績は、情けないほど低い高校生がずいぶんたくさんエージェントの手で送られています。
こうまでして多くの授業料を獲得したいノバスコシア留学生プログラムのwebsiteには、もうひとつのカラクリがあります。
卒業資格をまずこう記述しています。
”In order for a NSISP student to graduate from a NS high school, they need to study in a Nova Scotian school for at least one year and meet all graduation requirements.”
「ノバスコシアの高校を卒業するには、少なくとも1年は高校に在籍すること。そして高校卒業資格を満たすこと。」
と書かれています。 その下に、長々と卒業に必要な単位の詳細がありますが、まずエージェント任せの高校生と親たちはそれに目をやることはないでしょう。
また、日本での能力も平均以下の高校生には余程頑張って5年、ほとんどの高校生は途中脱落する単位数ですが、エージェントは口が裂けてもそんなことは言いません。
「1年在籍したら卒業資格が出来ますよ」に釣られた高校生も多いのではないかと危惧しています。
というのが、高校プログラムの実態です。
I hope this helps.
カナダ高校留学中のみなさん、Englishの授業に困ってませんか?
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Good luck!
このコラムの執筆専門家
- 大澤 眞知子
- (カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
- Super World Club 代表
カナダにいらっしゃい!
カナダ 在住。パンデミック後のNew Normal 留学をサポート。変わってしまった留学への強力な準備として UX English主催。[Essay Basics] [Critical Thinking] など。カナダから日本に向けての本格的オンライン留学準備レッスン・カナダクラブ運営。
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