離婚時年金分割に隠された政府の思惑とは? - 保険選び - 専門家プロファイル

釜口 博
BYSプランニング ファイナンシャルプランナー
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対象:保険設計・保険見直し

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離婚時年金分割に隠された政府の思惑とは?

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知らないと損するかも…のお話し
BYSプランニングの釜口です。
今回のコラムは「離婚時年金分割制度」について書かせていただきます。

平成19年4月からはじまった離婚時年金分割制度ができて2年弱。
熟年離婚が増えるのではないかという観測もありましたが、実際の件数は多くありません。
平成20年7月までの請求件数が14,619件 79%が女性からの依頼。

少子高齢化が進むわが国では、将来の年金財政は厳しくなるのは目に見えています。
できるだけ年金給付を抑えたいのが政府の思惑です。
実は、年金分割制度は、手っ取り早く年金給付を抑える方策なのです。

なぜならば、離婚時年金分割制度では、配偶者の厚生年金の半分が最高額だからです。

なにをお伝えしたいかといいますと、
離婚せずに夫が妻より先に死亡した場合、妻は夫の老齢厚生年金額の3/4の遺族厚生年金が受け取れるのです。
離婚時年金分割を利用する場合、当然遺族年金は受給できません。
 

また年金分割について「夫の年金額の半分がもらえる」と勘違いされている方もいらっしゃいますので、注意点を書かせていただきます。

≪年金分割制度の注意点≫
1、分割対象は厚生年金のみで、基礎年金部分は対象外。
 ⇒第一号被保険者はそもそも年金分割とは関係がない。

2、分割されるのは、厚生年金保険料の納付記録である。
 ⇒妻が厚生年金被保険者であれば、妻の納付記録も分割になります。

3、分割されるのは、婚姻期間に対応する部分だけである。
 ⇒結婚前の年金記録は対象外ですし、H19年4月までに離婚された方は、年金分割は全くできません。

4、強制的に分割されるのは、平成20年4月以降の第3号被保険者期間のみ。
 ⇒H19年4月から離婚時年金分割制度は始まりましたが、H20年4月までは、お互いの合意に基づく分割で、この合意分割は「厚生年金加入期間」が対象になります。

5、分割年金を受給するには、自分自身の年金受給権がないとダメである。

離婚時年金分割を選択される場合は、くれぐれも慎重に・・・