- 大澤 眞知子
- Super World Club 代表
- カナダ留学・クリティカルシンキング専門家
(その3)9月からカナダ留学するみなさんへ-[留学せん事-2004年出版]からの助言
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1994年からカナダで留学サポートプログラムを主催して来ました。
現在は、サイエンス専攻を目指す特別な高校留学、またA.I. 研究者を目指す大学留学に特化したサポートのみに限っています。
どんどん低下する日本からの生徒の質に唖然としたのが一般生から手を引いた理由です。
2004年には「留学せん事」という本も出版し、特に「高校留学」の裏側をご紹介しました。
ここでは、その中から、日本からは見えない現実をシリーズでご紹介しています。
【留学せん事】ロバート・ミックミラン/大澤眞知子 共著 2004年出版 日本文学館
「。。。ホストファミリーに応募してくる人たちには多くの理由があります。本当の意味で外国文化に接したいと思っている人もいますし(こんなホストに出会うのは宝くじより確率が低いですが)難民を引き取るようなつもりの人もいます。進んだカナダに、アジアの国から子供が来てているので、私達が助けなくちゃ。驚きますがこんな考えの人もいます。お金目的の人もいます(大多数がこれです)。寂しいからが理由の人もいます。
しかしながら、普通はこれらの理由が複雑に絡み合っているのが現実です。。。。。」
1.ホストマザー神話
カナダ女性の特徴だと感じていますが、特に上述の理由を抱え、日本からの未成年を引き受けるホストマザーの感情的なことには未だに驚きです。
抑制不可能な感情が噴火するケースを多く目撃しました。
生徒に当たり散らすとかではなく、困ったことに、自分が本当の親であるかのような勘違いを起こす場合があります。
生徒の言葉も文化も知らないのに、毎日同じ屋根の下にいるだけで、生徒のことは何でもわかる優位な立場にあると思い込むホストには、お手上げでした。
日本の親の方針を守り、生徒にアドバイスするのが私の役目であるということなど無視。
「あなたは家の子なんだから、私の方針に従いなさい」とばかりに生徒を取り込みにかかります。
サポートプログラムを邪魔だと思うようにもなります。
「あなたはうちの子と同じよ」をいつも聞かされる生徒も、どんどん精神的に取り込まれて行きます。
自分のペースがなくなり、ホストマザーのペースで行動し始めます。
保護された難民状態です。
そのくせ、いざとなったら「本当に自分の子のつもりだったらそんなこと断らないでしょう?」という行動を見せます。
夏休み明けにカナダに戻る空港の出迎えを拒否(家族旅行だから。。。とか)校外実習への送り迎えを拒否(仕事で忙しいから。。とか)。
驚くほど見事に断ります。
大切にしてもらってるからうちのホストはいい人と、勘違いをしてしまうタイプかも知れませんが、実際、生徒の活動は大きく制限され、ホストマザーの満足のためだけに留学しているような結果にもなっていきます。
隠れ「困ったホスト」の実例です。
2.生徒のバラ色の夢が壊れるとき
留学する前には生徒に必ずこう言います。
「ホストファミリーはあなたの本当の家族ではないよ。あまり頼りにするとがっかりするよ。」と。
しかし、信じた生徒はほとんどいません。
目の前にがちっとかかったバラ色メガネのせいでしょうか。
「あなたは私の娘よ」と言った下の根も乾かないうちに、偽善が尻尾を巻いて逃げるほど「うちの子の活動があるからあなたには合わせられないわ」的な態度を見せつけられます。
「ほらね」と言いたいのを我慢して、ショック期に入った生徒を見守ります。
生徒は落ち込んで重圧に負けそうになります。
ここで動揺しすぎた生徒はほぼ、日本に退散します。
この段階で大人になった生徒の、その後の留学生活は雨後の竹の子のように伸びて行きます。
カナダの大学に進み、カナダで仕事をし、当時のホストと大人の付き合いをずっと続けている生徒もいます。
3.ホストに選ばなかったカナダ人家庭たち
・10年くらい掃除をしてないのかと思える家
・面接に行ったとき、私のカナダ人(白人)相棒の方だけを見、私の方には絶対目を向けない家族(アジアの顔は目に入らない?)
・40代独身のホストマザーで、同居人は二人の男
・父親が失業中、子供が6人。ホームステイ費は確実に家族の食費になりますね。
・個室というのは名ばかりで廊下に板を渡しマットレスをおいただけのベッドが留学生の部屋だと言ったホスト
・まだまだリストは続きますが、生徒がステイする前の段階ですべてのファミリーをふるいにかけることは不可能でした。
「大切で価値のある家族はじゃがいものようなものです。一番大切な部分は地面に隠れています。」(フランシス・ベーコン)
いいホストにも悪いホストにも同じことが言えたな〜と、ホストファミリー神話に振り回された20数年間でした。
(その4)に続く
ご質問などありましたらお寄せ下さい。
このコラムでは具体的な地名などは使っておりませんが、必要な場合は具体的な回答もさせていただきます。
Good luck, バラ色メガネのみなさん!
このコラムの執筆専門家
- 大澤 眞知子
- (カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
- Super World Club 代表
カナダにいらっしゃい!
カナダ 在住。パンデミック後のNew Normal 留学をサポート。変わってしまった留学への強力な準備として UX English主催。[Essay Basics] [Critical Thinking] など。カナダから日本に向けての本格的オンライン留学準備レッスン・カナダクラブ運営。
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