- 大澤 眞知子
- Super World Club 代表
- カナダ留学・クリティカルシンキング専門家
(その5)これからカナダ留学するみなさんへ-[留学せん事-2004年出版]からの助言
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1994年からカナダで日本人留学生の支援をし、膨大な経験を経たあと、現在、サイエンス専攻を目指す特別な高校留学、またA.I. 研究者を目指す大学留学のみのサポートに従事しております。
2004年には「留学せん事」を出版し、実は全くバラ色ではない「高校留学」の実体をご紹介しました。
ここでは、その中からシリーズでご紹介しています。
【留学せん事】ロバート・ミックミラン/大澤眞知子 共著 2004年出版 日本文学館
「。。。私達とお付き合いのあった教育関係者によると、10~20%のカナダ人生徒が優秀・勤勉。大多数の生徒は、勉強よりパーティや、次のスポーツの結果や、どうやって学校から逃げようかということに気を取られています。その下に位置する端数の生徒が悪い子で、問題の根源です。学校内での麻薬売買、けんか、ゴミの撒き散らし、ギャングとの関わりなど、諸悪の根源です。。。」
1.留学先のカナダ人生徒の恐るべき実体
日本からの高校留学生を、カナダ大使館の留学フェアなるもので、三顧の礼で受け入れている公立高校の実体が、上記引用です。
誰にでも開かれた無料の高校ですから、当たり前の生徒構成ですが、日本の親にはその情報は届きません。
入学後、留学生が直面するのは、学校のどこにも居場所がないことです。
大規模な学校での10~20%の質の良いカナダの子たちは、留学生などには興味がありません。
自分たちと同じ高いレベルの授業に入っているわけでもないし、英語でのコミュニケーションの出来ない日本からの留学生など目に入りません。
小規模な田舎の学校でも同じです。
小さな町で一緒に育ち、同じ経験を共にして来た一握りの良いカナダ人生徒たちには、完全なグループが出来上がっています。
地元の良い子グループです。
その中に留学生が入るなんて至難の技です。
同じく地元で育ち、良質の生徒の家庭ともつながりのあるカナダの大人がうまくつないでくれない限り、良い生徒と友達になることは不可能です。
従って、辛うじて留学生に声をかけて来そうなのは、危ない下のレベルのカナダの子になります。
留学生が麻薬や金銭問題などに巻き込まれてしまうのはこのためです。
バラ色夢では、カナダの子と友達になって学校生活を謳歌する。。。はずだったのでしょうが、わざわざ、問題レベルの高校生とつるむために留学してしまったとは。
または、他の日本人とだけ寂しくつるむカナダ留学になってしまうとは、見ていて憐れです。
じゃ! 私立高校に留学すればいい!
一時期はその選択肢もありでしたが、今は状況がかなり異なっています。
私立高校は、教育レベル・社会的地位、思想などが同じ親たちが、その中で子供を守るべく送り込む学校です。
学校もビジネスですから、親の意向にかなり合わせた経営をします。
日本からの留学生には、親の存在感がありません。
どんな親から送られたかもわからない留学生は、完全な蚊帳の外です。
日本から親が頻繁に学校のイベントにも参加、カナダの親たちと交流する気なら、蚊帳から出れるかも知れませんが、単に留学業者に任せるだけでは無理です。
2.The Ministry of Education is not involved in international education.
(州政府教育省は留学には関与しない。)
「。。。留学生は留学先では声を持たない。留学生の親も同様である。留学生の成功、不成功を管轄する政府機関は存在しない。経済的な関心が存在するのみである。留学生を連れてくることはビジネスである。
英語圏の国の政府は、この留学ビジネスの重要性をよく認識し、容認しています。利益が膨大なものなので、問題には見てみぬふりをします。地域社会に大きな金額を落とす留学生は。。。」(ロバート・ミックミラン「留学せん事」より)
留学生を受け入れている教育委員会は”International Program”とやら名前をつけ、責任者を任命します。
小さな地域では教育長が兼務する場合もあります。
そして、その責任者は日本・台湾・韓国、そして最近の流行りのようですが、コロンビアとかにしょっちゅうセールスに出かけるようになります。
実際の留学の問題を放し合おうとしてもなかなかオフィスにいません。
一度カナダに受け入れた留学生の心配よりも、次の年度にいくら授業料を儲けるかの方が、喫緊の課題だからです。
ある教育委員会の人たちは”International Program”の責任者を「中古車のセールスマン」と読んでいました。
自分たちの学校が、外国からくたびれてやって来る子供たちの場になりかかっているという皮肉だったのかな。
日本からわざわざ親元を離れて留学する日本の子供のほとんどは、本国では中古扱いされていると知っているのかも知れませんが、絶妙のネーミングでした。
3.ホームステイコーディネーターなる人たちのいい加減さ
本来は留学生にホストファミリーをあてがい、その後の問題に対処する仕事です。
生徒とホストの両方に何やら質問表を記入させ、それを元にあてがいます。
「好きな食べ物は何ですか?」「子供は好きですか?」とかの役にも立たない質問です。
日本のことも知らず、日本文化も知らず、もちろん留学生本人にも会ったこともなく、親の方針も知らず、あてがっていきます。
「あてがう」と言うことばは実は間違いかも知れません。
ほとんどの学区で、セールストークで獲得した留学生数に見合う数のホストファミリーを見つけることが出来ません。
「あてがう」なんて余裕はありません。
毎年その状況は悪化して行きます。
善意でやってくれるホストファミリーほど、一度ホストをすると嫌気がさすそうです。
留学生の質に落胆するんだそうです。
英語が出来ない、行儀が悪い、躾が出来ていない、朝さえも満足に起きられない、部屋は汚い、家族へのリスペクトがない、学校に平気で遅刻する、部屋にこもって日本と話してばかり、地元の町への興味がない。。。などなど、恐ろしくたくさん不平が出て来ます。
悪いことに、その不満を他のホストファミリーと話し合い、そのうち地元中に広まります。
結果、残るホストファミリーは「毎月のホームステイ代」が必要な家庭のみとなってしまいます。
留学生側からホストへの不満を言われても「まぁまぁ」としか言えない理由はこれです。
(その4)に続く
ご質問などありましたらお寄せ下さい。
より具体的な回答も出来ると思います。
Good luck, こんなはずじゃぁ。。。留学生のみなさん!
このコラムの執筆専門家
- 大澤 眞知子
- (カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
- Super World Club 代表
カナダにいらっしゃい!
カナダ 在住。パンデミック後のNew Normal 留学をサポート。変わってしまった留学への強力な準備として UX English主催。[Essay Basics] [Critical Thinking] など。カナダから日本に向けての本格的オンライン留学準備レッスン・カナダクラブ運営。
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