- 増井 真也
- 建築部門代表
- 建築家
対象:住宅設計・構造
昔の家作りでは、クライアントがある程度の知識を持っていた。間取りはその地方ごとに決まった様式というものが存在し、それを自分の土地にあうようにちょっとアレンジするだけで簡単につくることができた。大工は徒弟制度の中で身に着けた能力を持ち、図面化しなくてもその間取り図だけで材料を発注し、家を創り上げることができたのである。
しかし、ハウスメーカーや建売の坪いくらという表示になれてしまった現代人は、まるで車を買うように家を考えることが一般的になってしまっている。マンションを購入することを、住宅を建てるよりも早くに経験してしまっているということも原因のひとつかもしれない。マンションのチラシにある「ディスポーザー付のキッチンやユニットバス標準装備で○○万円」という考え方になれてしまったことが、坪いくらの家作りにつながっているともいえるだろう。
船橋の家では、160ミリ角の大黒柱をたてた。材質は杉、節はない。長さは4500ミリ。さてこの柱一体いくらだと思いますか?