この頃は、子犬の問題行動の相談よりも、老犬の相談を受けることが多くなってきました。飼育されている10歳以上のワンちゃん、ネコちゃんの割合がほぼ30%になってきたからでしょうか。(一般社団法人ペットフード協会HPより)
その中で、ワンちゃんが朝方吠えるとか、突然噛むようになったとか、徘徊が始まったとかの相談を受けるようになりました。
ワンちゃんにも認知症があります。病名は「高齢性認知機能不全」というものです。『もう年だから仕方ないよね。』と少し症状が出てもあきらめて何もしない飼い主さんもいらっしゃるようですが、症状が進んでいくと、吠えがひとくなったり、徘徊がひどくなったり、介護するのが大変になってきて最期まで介護をするのが大変になってくることがあります。
『年だから』とあきらめて何もしないのではなく、認知症を理解し、上手にケアすることで問題行動をコントロールしながら最期まで一緒に暮らしましょう。
まず、認知症・・・高機能認知機能不全の症状とは、見当識障害相互関係の変化睡眠サイクルの変化排泄の失敗活動の変化などが起こってきます。
【見当識障害】とは、今自分がどこにいるのか、今何時ごろなのか、が分からなくなってくることです。いつも散歩しているところで急に怯えはじめたり、急に怖がりはじめて家から脱走したりすることができてきます。
【相互関係の変化】 今まで喜んで行っていた散歩を嫌がるようになったとか、そばに来なくなったとか、飼い主さんとの関係を楽しまなくなってきたりします。同居犬やネコたちと一緒にいるのを嫌がったり、逆にお留守番をするのが苦手になったりす ることがあります。
【睡眠サイクルの変化】 夜吠えるようになったとか、朝早く吠えるようになった。昼間は寝てばかりするようになったりすることが多くなります。
【排泄の失敗】 今まできちんとトイレの場所で排泄をしていたワンちゃんだったのに、だんだんと失敗が多くなってきたりします。
【活動の変化】 今まで1時間散歩していたのが、30分で歩かなくなった。とか、飼い主が帰ってきても喜ばなくなった、などの変化が出てきます。
だいたいは、年をとるに従って、少しずつ変化してくることが多いのですが、突然変わったりする場合は、どこかに病気があるかもしれません。高齢に伴う変化は抗えないものかもしれませんが、そこに関わる原因を注意しながら、生活することで進行を遅らせることができるでしょう。
このコラムの執筆専門家
- 千田 純子
- (千葉県 / 獣医)
- ペット行動コンサルタントSENDA
科学的な理論を基に人と動物が共生できる方法を提案します。
ペットの犬や猫の問題行動の予防や改善のためのコンサルテーションや個人トレーニング、グループトレーニングを行っています。当しつけ教室の卒業生には、老人福祉施設や病院、緩和ケア病棟でセラピー犬として活躍しているワンちゃん達もいます。
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