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大澤 眞知子
大澤 眞知子
(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
大澤 眞知子
(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)

閲覧数順 2024年04月26日更新

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日本の子供の “Insights” (物事を理解する方法に突然変化が起こり、理解力が広がり高まること)が危ない

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科学に基づいた心理学から

人間の持つ能力で高く評価される二つの能力。

特に今、そして未来を生きる子供たちの成功には必須と言われる二つの能力:

1. Creativity - 新しいものを考えたり、創り出す能力
2. Insights - 脳が物事を理解する方法に突然劇的な変化が起こり、それ以降の理解能力が高まること

 

犯罪にも匹敵するほど時代遅れ日本教育制度の中で、それらがどんどん日本の子供から失われていくのを目撃しています。

背筋が凍りそうなほどの危機感を持っています。

_______________ 

今、夏の特訓特集としてComputer Science の基本を教えています。

簡単なコンピューター言語を習得しながらオリジナルのゲームストーリーを創る過程で立ち止まる生徒が。


「あっ!」という枠からはみ出る ”Insights” を褒めちぎろうと手ぐすね引いて待ってるんですけどね。

私のところに来ている生徒たちは、他の日本式環境の子供に比べてはるかに脳の刺激が多いと思うんですけどね〜。

やっぱり心配です。

_______ 


そんな観察を、Psychology Today の記事から引用しながら分析していきます。


Insights は Creativity を生むためには必須の脳の動きです。

Insights は、人間には本来備わっているもので、物事をあらゆる方向から考え、結論に至ろうと格闘する過程において、ある日、ある時、突然起こる脳の変化です。


「今までに正しいと思っていた」ことが実はそうではなかったと認識し、そこから脳の中に新しいモデルが出来上がり、より高い能力へと変化していく。

これが Insights です。


新しいモデルが脳に出来ると、行動も変わってきます。

行動の先にある目的にも変化が生まれるからです。


あれ?

と、思いましたか?

そりゃそうだ、日本の教育で Insights なんて起こるはずがない。

「教科書」「問題集」「教師の言うこと」だけを正しいと教え込まれ、テストでも模範解答通りに書かないと良い子と認められない教育は、Insights の全く180度逆のところに在ります。


例えば、こんなことが日本の小学校で起こると思いますか?


ー 奇数と偶数を習っていた小学生のSean が、”6” は偶数と奇数両方に当てはまると言い出しました。 教師はその言い分を真摯に聞き、説明するよう促しました。 Sean によると、”6” は3つの”2”づつのペアに分けられる。 “2”は偶数だけど “3” は奇数なので両方の要素を持っていると。

これは脳の成長過程において、非常に健全な思考法だと判断した教師は、Sean の主張のどこが実際の数学と食い違っているのか、クラス全員で考えて議論する授業を行いました。

最終的にSean は自分の考えは数学の見地からは間違っていたことに納得しましたが、クラスメートたちは、この”6”のような要素を持っている他の数字(例えば”10”)に”Sean Numbers” という新しい名前を付ける結果となりました。

Sean だけでなく、クラス全員の脳に新しく進化した思考モデルができた瞬間です。


生徒の勘違い、間違いを教師がどう Insights につなげていくか。

全く教師の人間としての力量にかかっていますね。


こんな光景を再現出来る教師が学校に数名でもいるとしたら、まだ少しは望みがあると思いますがね、日本にも。

_________ 

直接指導する今治教室に週に2時間から8時間ほど通ってくる生徒たち。

英語でクリティカルシンキングに出会うことで、何とか健康な脳の発達をとIdea を絞っています。


残念なのは、子供の脳をまるで既成事実だけを収納する倉庫か何かのように思い込み、物理的な限界を超えるほどの暗記をその倉庫に押し込むことを「良し」とする学校の存在です。

邪魔ですね〜。

子供の脳をどんどん破壊していきます。


私たちがいくら頑張っても、もっともっと長時間を過ごす学校が脳を容赦なく破壊していきます。


Insights が生まれる環境を作ることは、ちょうど脳のアップデートをするのと同じです。

コンピューターにアップデートが必要なように、脳にも頻繁なアップデートが必須なことなど何のその。

カビの生えた倉庫にいつまでも化石のような事実を押し込むことが教育だと思い込んでいる学校。
最近そんな学校が増えた気がします。

毎日毎日そんな学校に、本来発達すべき脳を押さえつけられた生徒たちの脳は、徐々に徐々に働きを止めていきます。

錆びた歯車のように。

気がついた時には、本来持っていたはずの Creativity, Insightsの芽のかけらも残っていないカスカスの脳が・・・。 


そんな学校は、Psychology Today で「教育心理学の専門家」が述べていることとすべて逆行したことをやっているからです。 


1. 中学生レベルの教師のタブー:

生徒がすでに知っているような事実を覚えることを強制、暗記量も日々追加していくこと。 
これをやると”Insights”は瀕死。  


小学生くらいまでの脳の中はたくさんの情報がごちゃごちゃに積み重なり膨れ上がっています。中学生レベルでは、その不要な部分を取り除き、脳に存在する間違った思い込みを間引きし、脳の整理をする手助けをする。 これが教師の仕事。 

そのような過程を通じ、子供達は「自分のもっていた思い込み」の理由に興味を持ち、「自分で問題をみつけ、解決する」好奇心が芽生えてくる。 そこから Insights が生まれるわけです。

 

2. 生徒に考える時間をたっぷり用意し、生徒自身が自分のたどり着いた結論が正しいかどうかを確かめる手助けをする。 

これが教師の役目。 

  「決まった答え」を次から次に与えてるのはタブー。 その場では脳の倉庫に収納されたように見える事実は、そのカビ臭い倉庫から外に出ることは絶対なく、子供の脳に存在する多くの他の情報と同化し “Insights” に結びつく能力を阻害する。
また、子供の脳は能動的な知的活動を止めてしまい、与えられること、言われることをこなすだけの受け身の活動しか出来なくなる。


上記 Sean の例を見ても、もしその際に教師が単に「偶数・奇数」の説明を「これが正しい」と繰り返し、Sean の主張を単に「間違い」とした場合の結果を想像してみるとわかりやすいですね。 “Sean Numbers” などの Insight は生まれていないはずです。 


3. 生徒の脳の自然な活動をブロックしないこと。 

  

既成の事実に疑問を持つ生徒の好奇心を損なわず、自分から新しい事実をみつけようとする探求活動を助けること。

そうしないと、子供の脳は、無理やり押し込まれた事実の周りに大きな壁を作り、そこから出られない受け身の状態に陥ってしまう。 壁の中では “Insights” は生まれない。 


4. 間違うことを奨励すること。


好奇心を奨励し、間違いを通じて学ぶことを「良いこと」」とする態度を教師自身が見せる。

だそうです。 


10代で脳は非常に大切な発達を遂げます。

人類に組み込まれている遺伝子によってです。


ただし、上記1〜4のタブーを犯さない環境で10代を過ごせばの話です。

自然環境に存在する毒性物質により、遺伝子の活動が抑制されてしまうのと同様に、社会・教育環境での否定的要因でも、遺伝子が花開かずに閉じてしまう結果に終わります。


ありゃ。


2020年に日本の大学入試が大変革をするそうですね。

「自分で問題をみつけ、解決出来る能力」を見るんだとか。


どうやって育てるのか、実際の学校でやってることと、目的とが合致してませんね。

Insights の欠如かな。



Enough is enough.

*********************

Virtual Teaching を駆使し、 カナダの小・中・高校の教育課程を基にした指導をしています。

クリティカルシンキングの能力をつけた生徒は「カナダの小さな町での留学・ボランティア」で自分本来の能力を発揮中です。
Super World Club(大澤眞知子、Robert McMillan) 


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カナダ 在住。パンデミック後のNew Normal 留学をサポート。変わってしまった留学への強力な準備として UX English主催。[Essay Basics] [Critical Thinking] など。カナダから日本に向けての本格的オンライン留学準備レッスン・カナダクラブ運営。

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