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大澤 眞知子
大澤 眞知子
(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
大澤 眞知子
(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)

閲覧数順 2024年04月24日更新

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大丈夫。 子供は急に天才にはなりませんから。

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科学に基づいた心理学から

日本とカナダで教育に関わり35年になります。

The Economist の最近の記事 “Helicopter parents – Relax, your kids will be fine” を読んで思わず手を叩いて大賛同。


日本の親たちにずっと言い続けていたことが実に痛快に書かれています。

親ががむしゃらに自分の子供を追い立てる無意味さについてです。


記事要約: 

「もっと子供に自由を」


―ちょっとお金に余裕が出来ると親たちは、子供へ病的なまでの執着を見せ始めます。 Over-coaching(子供への過教育)です。

あの塾、この塾、夏期講習、塾の合宿。。。 週7日間。 自由時間なし。 おまけに、英語塾、バイオリン教室、バレー教室、サッカークラブ。 そうやって子供を追い立てないと、有名大学そして高給取りにならないかも。。。

お金に余裕が出来たのなら、親は自分のために時間を過ごせばいいものを、怪獣のように子供を過教育に追い立てます。

自由時間がいかに子供の脳に大切かを完全に無視して。

自由時間がたっぷりあると、子供は陽気になりエネルギーに満ちあふれるのに。



The Economist は、そんな親の様子を「旋回するヘリコプター」と例えています。

子供の上を旋回し続ける親です。



The Economist はこうも書いています。


ヘリコプターから降りなさい、親のみなさん。

「有名大学に行かせなくちゃ。」「将来一流企業へ。」の気持ちもわからなくはないですが、親が追い立てても子供の能力にはほとんど違いは出ないですよ。

自由時間がたっぷりあった子供と、追い立てられ子供時代はほぼ塾漬けの子供の能力には、まず差はつきません。


「では、どうやればうちの子が他の子より優秀になるんですかぁ?」


良い遺伝子を持っていること。

これしかありません。


心理学上有名な研究、Studies in Minnesota and Sweden.

生まれた時から別々の環境で育った一卵性双生児を使った大がかりな研究です。


一卵性双生児は、同一の遺伝子を共有しています。

脳の知的能力もまったく同じです。


その双子が、異なった環境で育った場合、大人になった時の知的能力に差があるかどうかを調べた研究。


結果: 環境は影響しない。 つまり、生まれ持った遺伝子で知的能力は決まる。


別の親に育てられた一卵性双生児たち。

例えどんなに頭の良い里親に育てられたとしても、または平均的な親に育てられたとしても、大人になった時の双子の知的能力に違いはありませんでした。



アメリカ人の里子になった韓国人の一卵性双生児を対象にした研究でも同じ結果が出ています。

どんなにお金持ちで一流の教育を受けさせたアメリカ人の親の里子になった双子も、里親の中では一番金銭的に恵まれていない親に育てられた双子も、大人になった一卵性双生児の知的能力に差は出ませんでした。

 

だからと言って、子育てが全く意味のないものだというわけではありません。


里親になる人たちは、徹底的に調査され選ばれた人たちです。

子供には暖かく接し、社会でうまく生きていける人たちです。


ですから、これら一卵性双生児の研究に参加した子供たちは、「暖かく愛される環境」と「適切な知的刺激」を得て育ち、本来持っている遺伝子による知的能力を十分開かせることが出来たと言えます。


もし、暴力的な親や、子育て放棄、または過度に心理的抑圧を与える威圧的な親などに育てられていたら、その遺伝子は開くチャンスがなかったかも知れません。


その結果、知的能力が極端に劣る大人になっていたかも知れません。

「環境」はそのような形で、脳の発達に大きな影響を与えてしまいます。



さあ、親のみなさん、ちょっと力を抜いてこういう見方をしてみませんか?

ちょっと余裕が出来たのなら、親のあなたがまずリラックスする時間を確保。


ヘリコプターの様に子供の上で旋回しなくても、あなたの子供は大丈夫。

太陽の光をたっぷり浴びて、遊びほうける時間を奪わないように。


そしたら、親のあなたも今より充実して幸せになるし、自分の好きなことをする時間も出来るし。

睡眠時間も増えるかも(脳の健康―自分が幸せと思える心理状態―に非常に関連があります。)


親自身の日常のストレスが減ると、子供はその変化を微妙に感じ、前向きに対応するようになりますよ。

それが子供の脳の発達には何よりも大切です。

 _____________________ 

長い教育の歴史を振り返ると、顔が浮かぶ子供が(親も!)いっぱいいるんですよね。


そんなに毎日塾漬けにして、どんな大人にしたいのかな。

どんなに子供を追い立てても、遺伝子は親のあなたからもらったものなのに。。。


塾の数と時間を増やせば、自分の子供が急に天才になるとでも思っているのかなぁ。


そんな親に限って、「塾の時間と都合がつかなくなったので。。。」と、子供の脳がやっと楽しみを覚えたクリティカルシンキングから引き離して行きます。


子供本人も、「部活が、塾が。。。」と突然折れてしまいます。

自分を知らないまま、脳が発達を止めてしまっています。


遺伝子の開花が抑えられ、脳があきらめたかのようです。



逆に、自由な脳の発達をしているな~と思える子供が時折やってきます。

最初は、はちゃめちゃで好奇心の塊。

座って書いたアルファベットもなにか独特。


親も「これがうちの子ですからぁ。」と、リラックス。

私の所に子供を通わせる「本当の意味」をよく理解しているようです。


そんな子供はある時期から急速に伸びて行きます。

本人の持つ遺伝子が大きな花を咲かせます。


自分の持つ能力を120%引き出すことが出来る子供です。



そんな子供をひとりでも多く育てたい思いで続けて来ました。


残念ながら未だに「ヘリコプター」がブンブン邪魔をしますけどね。

ま、日本の親たちがどれくらい賢いのか、観客席から見ている気分です。


科学の証拠を無視し続け、「ヘリコプター」がこれ以上増えるようなら考え時ですね。

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カナダの小・中・高校の教育課程を基にした指導をしています。
クリティカルシンキングの基本が出来た生徒は「カナダの小さな町での留学・ボランティア」で自分本来の能力を発揮中です。
Super World Club(大澤眞知子、Robert McMillan)


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(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
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カナダにいらっしゃい!

カナダ 在住。パンデミック後のNew Normal 留学をサポート。変わってしまった留学への強力な準備として UX English主催。[Essay Basics] [Critical Thinking] など。カナダから日本に向けての本格的オンライン留学準備レッスン・カナダクラブ運営。

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