本年から年金給付額の抑制を目的とした、年金の経済マクロスライドが始まり、合わせて過去に過剰に支払った特例分の減額も開始しています。
また、アベノミクスの成功からインフレになる可能性も高くなり、金融商品への関心も高くなっています。ただ、売り手のデータは、販売商品があってのことですので、アンケートは「老後は不安を感じていますか」などの聞き方で、必要額も多めの例も多いため、将来必要な老後資金の目標を公的データで探ります。
ところで、現在の暮らし向きを尋ねたアンケートでは。下図の結果となっています。対象は60歳以上の男女ですので、すでに年金生活入った方達の意見と考えて良いのではないかと思われます。
税体で全く心配が無い、それほど心配ないと合わせて71%です。
それを裏付けるのが、高齢者一人当たりの所得は現役世代1人当りと遜色ない数字です。
全世帯の一人当たり所得は200.4万円で、60歳以上のもののみで構成する高齢世帯の一人当たり所得は197.4万円です。
このような状況の中、家計の収支を平成26年の総務省統計局の家計調査で確認しますと、高齢夫婦無職世帯の2014年家計収支は下図の通りです。高齢無職世帯とは夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯を指します。
実収入は207,347円、内社会保障給付で92%を占めています。支出は税や社会保険の非消費支出が29,422円になりますので可処分所得は177,925円です。
消費支出は239,485円ですので家計の不足額は61,560円になり、この金額を貯蓄で補うことになります。
一方、平成25年の簡易生命表によれば、65歳の男性の余命は19.08年、60歳女性の余命は28.47年です。
男女の余命差は9.39年ですから、この年数が女性のお一人様の時期です。
高齢無職単身世帯の家計収支2014年では、収入が112,207円で、消費支出は142,263円、不足額は41,516円になっています。
通常、ファイナンシャル・プランニングを考える際、ご主人がお亡くなりになられた場合の家計は3割減の70%として試算します。先の夫婦世帯と比べると約60%になっています。
また、主な収入減である、年金は遺された奥様の場合、基礎年金とご主人の厚生年金の70%のケースが多いので、単身世帯の収入も概ね見込めると思われます。
これらを考慮しますと、現時点で目標とする額は、世帯主が男性の場合、65歳時点で
高齢無職世帯の不足額61,560円×12ヶ月×30年=22,161,600円
と算定されます。
この数値を基に、収入は、40歳、50歳、59歳の時にお手元に届く「ねんきん定期便」を読み、将来を推計ください、収入が不足するのであれば、その額に30年を乗じた額が追加目標になり、将来の支出額を多めに考える場合には、その額に30年を乗じた額が追加目標になります。
例えば月に3万円不足するのであれば、
30,000円×12ヶ月×30年=10,800,000円、5万円では18,000,000円が追加目標金額です。
合わせて+5万円の例では40,161,600円になり、この金額が65歳時点で貯蓄として保有していれば安心の生活かと思われます。
FP学会会員
独立系顧問料制ファイナンシャル・アドバイザー
オフィス マイ エフ・ピー 代表 吉野 充巨
FPプラス投資助言で人生設計から資産形成まで一貫してサポート
保険や投資信託を販売しないファイナンシャル・プランニングの専門家。
あなたのセカンドライフ・プランに適した期待リターンとリスク許容度で資産配分とポートフォリオ構築を口座開設から銘柄選定までサポートします。
【保有資格】
ファイナンシャル・プランナー:日本FP協会認定CFP®
日本証券アナリスト協会認定 プライマリー プライベート・バンカー
『このコラムは、投資判断の参考となります情報の提供を目的としたものであり、有価証券の取引その他の取引の勧誘を目的としたものではありません。
投資による損益はすべて読者・ご相談者ご自身に帰属いたします。投資にあたりましては正規の目論見書、説明書等をご覧いただいたうえで、読者・相談者ご自身での最終的なご判断をお願いいたします。
本コラムは、信頼できると判断した情報に基づき筆者が作成していますが、その情報の正確性若しくは信頼性について保証するものではありません。』