- 中舎 重之
- 建築家
対象:老後・セカンドライフ
奈良:箸墓古墳と卑弥呼の話
今回の旅行の大きな目的は、文字の世界から抜け出だすことでした。
そして、山辺の道を歩きながら、ヤマトの古代の空気に触れたいとの思いがあふれ出てきたからです。
それには、謎が多くて五里霧中にある箸墓古墳にこそと思い目標にしました。
いま此処に、目の前に横たわる巨大な、そして整然とした姿に接して、言葉を失いました。
とてつもなく大きい大きいお墓なのに、威圧する事無なく、柔らかに、円やかで、
それでいて気高さ感じさせるのは、何故なのでしょう。
箸墓の説明をします。形式は前方後円墳と云います。
此処では西側が前方になり四角です。 四角と言ってもバチ形をした台形です。
東側が後方になり円形です。 四角とか円形とか云いますが、これはあくまでも空から見た形状です。
私もそうですが、皆様もすでに写真で何度も見ていらっしゃると思います。
上空からフォルムには、美しいと言うより神々しいと表現したくなります。
箸墓の大きさを記します。
前方部 長さ125m、高さ16.0m、基壇のテラス:4段
後円部 径 155m、高さ29.4m、基壇のテラス:5段
全長280mと巨大で、奈良県では3番目の大きさになります。
完成時には、前方部の頂上には吉備の都月型埴輪が置かれ、後円部には葺き石があった様です。
現在は全体が樹木で覆われ、完成時の華やかで輝く姿は見る事が出来ません。
未だに築造年代が特定できない事が謎を呼んでいます。
古墳が宮内庁の管理で、本格的調査が出来ないのです。
それでも、濠や他の周辺での修理では、若干の出土品もあります。
遺物として画文帯神獣鏡、土器では布留0式と云われる古い年代のも出土しています。
土器の年代測定では、240~260年と出ているそうですが、測定する資料が少なく特定には至らないようです。
古墳の形体の話です。
ヤマトの初めには、弥生時代後期に吉備の埋葬文化が持ち込まれました。
王や首長の埋葬儀礼にも吉備の土器が用いられ、墓の形も吉備の「円形+四辺形」が、
ヤマトの前方後円墳へとつながります。
但し、吉備の円形の径が10mで四辺形の一辺は15mとの事です。
次が、出雲の地域を特定する独特の四隅突出型墳丘で使用された貼り石が、
ヤマトの前方後円墳で採用され、葺石へと名前も変えました。
最後に北部九州の豪奢な副葬品の風習が取り入れられて、ヤマトの古墳が完成しました。
古墳には、築造された年代により形が変わりますが、被葬者の身分によっても形状が決まるようです。
最上位は前方後円墳:築造は初期~後期、北は岩手県から南は鹿児島県まで、4700基もあるそうです。
前方後方墳:築造は初期~中期、特に前期の東日本に多い。500基
円墳 :築造は初期~終末期。(奈良県・藤ノ木古墳)
方墳 :築造は初期~終末期。(奈良県・赤坂天王寺古墳)と続きます。
方墳には、上円下方墳(近代以降の皇室陵墓)、八角墳(京都府・御廟野古墳)と形に変化がある古墳もあります。
次に、箸墓古墳に近い、他の古墳のデータを記します。
纏向石塚古墳:位置は纏向遺跡内、築造は3世紀初期<220年頃>
形式は前方後円型墳丘墳、規模は全長93m。葺石と埴輪なし。
直径56cmの弧文円板が出土した。吉備の特殊文様の祖形。
曲線を複雑に組み合わせた美しい文様です。
ホケノ山古墳:位置は箸墓の東約350m、築造は3世紀中期<250年頃> 形式は前方後円墳、規模は全長80m、葺石あり、埴輪なし。
画文帯神獣鏡が出土、鏡は中国の呉では確認されている。
魏には存在しないと云われています。
黒塚古墳 :位置は箸墓の北約1600m、築造は3世紀末期<280年頃>
形式は前方後円墳、規模は全長130m。
三角縁神獣鏡が33面出土する。これはヒミコの鏡ではなく、 中国・呉の渡来人の指導で作られた日本産との説があります。
箸墓より後に築造された天皇の陵墓を記します。
第10代 崇神天皇の陵:位置は纏向遺跡の東側、規模は全長242m
第11代 垂仁天皇の陵:位置は箸墓の北約16km、規模は全長227m
第12代 景行天皇の陵:位置は纏向遺跡の東側、規模は全長300m
大仙古墳:仁徳天皇の陵。位置は大和盆地を出て、大阪湾を望む河内です。
前方部 長さ225mx幅300m、基壇のテラス:3段
後円部 径 249m、高さ33m、基壇のテラス:4段
全長486mと超のつく巨大さです。三重の濠に囲まれています。
総面積は16万㎡で秦の始皇帝の500m四方の墓に匹敵します。
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