- 中舎 重之
- 建築家
対象:住宅設計・構造
ホールダウン金物のアンカー話です。
現在の建築現場では、大工の棟梁の許で工事の全てが一貫して作業される状況にはありません。
建築現場の80%は、分業で箇々に行われています。
現在では、木造加工は大工さんの手ではなく、土台・柱・梁の仕口は
80%がプレカット工場の製作になります。
大工さんはプレカットされた部材を、現場で組み上げるのが仕事になります。
アンカーボルトは基礎屋の仕事ですが、ホールダウン金物のアンカーが基礎に埋め込まれる場合と、
土台の下端で大工さんの手で処理される場合があります。
基礎屋にはアンカーが埋め込まれるのか、否かの判断は出来ません。
そこで現場監督の出番になりますが、住宅建築の場合は、学卒の若い人が、
現場の経験の無いままに参加していますので、的確な指示が出せません。
結果として、此の件は宙に浮きます。
建物の足下が定まらない状況が出来てしまいます。
建築用語の「どだい話にならない」 が住宅建築の実情です。
土台の環境の話です。
土台は上部からの水分が滞留しやすく、また木部で地面に一番近い為、
雨水の跳ね返りや、地面からの蒸発水分の影響を受けやすい環境にあります。
水分が木造の腐朽の大きな原因である以上、対策が必要です。
水分が作用しても、直ぐに乾燥が行われる構造にする事です。
外壁の透湿防水シートの下端部を水切り材の上に被せる事で、継ぎ目からの水の侵入を防げます。
基礎コンクリートと土台の間にゴムのパッキンを入れる事で土台への水分を隔絶できます。
パッキンの配置は柱の下になる910mm毎にして下さい。
土台の材質の話です。
土台の素材には、耐腐朽性の高い樹種を用いる事です。
やはり、ヒバやヒノキの製材が一番です。
間違ってもスギや集成材は使わないで下さい。
シロアリに強いのが、一番がヒバ、二番目にヒノキが上げられます。
シロアリ対策も必要です。
防蟻処理として薬剤での浸透処理や塗布もあります。
天然のヒバ油は人に害を与える事がない良い材料なのですが、長期間の持続性に欠けます。
10数年前から発売された、炭を素材にした塗布材は、水を弾き、空気を通す優れた材料です。
水を弾く事で、シロアリが嫌う乾燥状態が保たれるからです。
持続性はヒバ油が6年とすれば、それより長い10年位でしょうか。
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