金融商品取引法の委託証拠金 - 民事家事・生活トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
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東京都
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閲覧数順 2017年08月16日更新

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金融商品取引法の委託証拠金

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相続

金融商品取引法の委託証拠金

「取引証拠金」とは、金融商品取引所または金融商品取引清算機関が会員等、委託者、取次者、申込者から預託を受けなければならないものである(金融商品取引法119条1項)。

会員等とは、金融商品取引所の会員・取引参加者である金融商品取引業者等である。

委託者とは、会員等に対して市場デリバティブ取引を委託した者であって、取次者ではないものである。

取次者とは、会員等に対する市場デリバティブ取引の委託の取次を受けた者である。

申込者とは、会員等が取次者から受託した市場デリバティブ取引の委託の取次の申込みをした者である。

「取次証拠金」(同条2項)とは、取次者が市場デリバティブ取引の委託の取次の引受けについて申込者から預託を受けることができるものである。

「委託証拠金」(同条3項)とは、会員等が市場デリバティブ取引の受託について委託者または取次者、申込者から預託を受けることができるものである。

(取引証拠金の預託)

金融商品取引法第百十九条  金融商品取引所(その取引所金融商品市場における市場デリバティブ取引(内閣総理大臣の定めるものを除く。以下この条において同じ。)の全部又は一部に関し、他の金融商品取引清算機関に金融商品債務引受業を行わせる旨を定款で定めた場合にあっては、当該市場デリバティブ取引について金融商品債務引受業を行う金融商品取引清算機関。第四項において同じ。)は、市場デリバティブ取引について、内閣府令で定めるところにより、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者から、「取引証拠金」の預託を受けなければならない。

  会員等が自己の計算において市場デリバティブ取引を行う場合又は会員等がその受託した市場デリバティブ取引を第三項の規定に基づき委託証拠金の預託を受けて行う場合 当該会員等

  会員等がその受託した市場デリバティブ取引(会員等に対する市場デリバティブ取引の委託の取次ぎを引き受けた者(以下この条において「取次者」という。)から受託した当該市場デリバティブ取引(以下この条において「取次市場デリバティブ取引」という。)を除く。以下この号において同じ。)を行う場合(前号に掲げる場合を除く。) 当該市場デリバティブ取引の委託者(会員等に対して市場デリバティブ取引を委託した者であって取次者でないものをいう。第三項において同じ。)

  会員等が、次項の規定に基づき取次証拠金の預託を受けている取次者から受託した取次市場デリバティブ取引を行う場合(第一号に掲げる場合を除く。) 当該取次者

  会員等が取次市場デリバティブ取引を行う場合(第一号及び前号に掲げる場合を除く。) 当該取次市場デリバティブ取引の委託の取次ぎの申込みをした者(以下この条において「申込者」という。)

  取次者は、市場デリバティブ取引の委託の取次ぎの引受けについて、内閣府令で定めるところにより、申込者に、当該取次者に「取次証拠金」を預託させることができる。

  会員等は、市場デリバティブ取引の受託について、内閣府令で定めるところにより、委託者又は取次者(当該市場デリバティブ取引が、前項の規定に基づく取次証拠金の預託を申込者から受けていない取次者から受託した取次市場デリバティブ取引である場合にあっては、申込者)に、当該会員等に「委託証拠金」を預託させることができる。

  金融商品取引所は、内閣府令で定めるところにより、第一項の規定に基づき預託を受けた取引証拠金を管理しなければならない。

  第一項の「取引証拠金」、第二項の「取次証拠金」及び第三項の「委託証拠金」は、内閣府令で定めるところにより、有価証券その他内閣府令で定めるものをもって充てることができる。

  第百十五条第一項の規定は、第一項の取引証拠金(内閣府令で定めるものに限る。)について準用する。この場合において、同条第一項中「有価証券の売買又は市場デリバティブ取引」とあるのは、「市場デリバティブ取引」と読み替えるものとする。

(分別管理)金融商品取引法第四十三条の二

 金融商品取引業者等は、①第百十九条の規定により金融商品取引業者等が顧客から預託を受けた有価証券(有価証券関連デリバティブ取引に関して預託を受けたものに限る。)又は第百六十一条の二の規定により金融商品取引業者が顧客から預託を受けた有価証券、②  有価証券関連業又は有価証券関連業に付随する業務として内閣府令で定めるものに係る取引(店頭デリバティブ取引に該当するもの(有価証券関連業を行う金融商品取引業者であって第一種金融商品取引業を行うことにつき第二十九条の登録を受けた者を相手方として行う取引その他の取引の相手方の特性を勘案して内閣府令で定めるものに限る。)その他政令で定める取引を除く。次項第二号及び第七十九条の二十において「対象有価証券関連取引」という。)に関し、顧客の計算において金融商品取引業者等が占有する有価証券又は金融商品取引業者等が顧客から預託を受けた有価証券(前号に掲げる有価証券、契約により金融商品取引業者等が消費できる有価証券その他政令で定める有価証券を除く。)(次項の規定により管理する有価証券を除く。)を、確実にかつ整然と管理する方法として内閣府令で定める方法により、自己の固有財産と分別して管理しなければならない(金融商品取引法43条の2第1項)。

 金融商品取引業者等は、次に掲げる金銭又は有価証券について、当該金融商品取引業者等が金融商品取引業(登録金融機関業務を含む。)を廃止した場合その他金融商品取引業を行わないこととなった場合に顧客に返還すべき額として内閣府令で定めるところにより算定したものに相当する金銭を、自己の固有財産と分別して管理し、内閣府令で定めるところにより、当該金融商品取引業者等が金融商品取引業を廃止した場合その他金融商品取引業を行わないこととなった場合に顧客に返還すべき額に相当する金銭を管理することを目的として、国内において、信託会社等に信託をしなければならない(43条の2第2項)。

  第百十九条の規定により金融商品取引業者等が顧客から預託を受けた金銭(有価証券関連デリバティブ取引に関して預託を受けたものに限る。)又は第百六十一条の二の規定により金融商品取引業者が顧客から預託を受けた金銭

  対象有価証券関連取引に関し、顧客の計算に属する金銭又は金融商品取引業者等が顧客から預託を受けた金銭(前号に掲げる金銭を除く。)

  前項各号に掲げる有価証券のうち、第四十三条の四第一項の規定により担保に供されたもの

 金融商品取引業者は、前二項の規定による管理の状況について、内閣府令で定めるところにより、定期に、公認会計士(公認会計士法 第十六条の二第五項 に規定する外国公認会計士を含む。第百九十三条の二及び第百九十三条の三において同じ。)又は監査法人の監査を受けなければならない(43条の2第3項)。

最高裁判所第1小法廷判決昭和40年4月22日、民集19巻3号703頁

値合金請求事件、金融商品取引法判例百選67事件

【判決要旨】 旧・証券取引法第49条に違反して委託証拠金なしに信用取引により株式が売買されても、委託証拠金は証券業者の債権担保目的のものであるから、右違反は、証券業者と委託者との間の契約の効力は有効である。

【参照条文】 民法91条、商法552条、旧・証券取引法49条

 当然の結論と思われるが、最高裁としては、初めての判決である。

 証券取引法(昭和23年法律25号)の制定とともに、いわゆる証券の民主化・大衆化が進み、一般大衆も株式相場に関係を持つことが多くなった。このような一般大衆を投資家として保護する必要がある。

 旧法の下でも、いわゆる委託証拠金があり、これについては、仲買人(証券業者)が委託者に対して有することあるべき債権を担保するためのものと考えられ(たとえば、大審院判大正4年11月20日民録21輯1925頁、大審院判明治40年10月8日法律新聞459号12頁など)、学説もこれを支持していた(田中耕太郎『取引所法』新法学全集)57頁、松本信次『株式取引所論』278頁など)。

ただし、証券取引法では、信用取引による委託証拠金の預託を法令で証券業者に義務づけている。したがって、一般投資家の保護に徹すると、投資家に不当な損害を与えないため、同条を強行規定と解し、委託証拠金なしの信用取引のときには、委託者と証券業者との間の契約を無効とすることも理論的には考えられるが、本件判決は、従前どおり、右の契約の効力には影響を及ぼさない旨判示した。