証券取引所の受託契約準則 - 民事家事・生活トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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鈴木 祥平
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閲覧数順 2017年10月20日更新

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証券取引所の受託契約準則

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相続

証券取引所の受託契約準則

 金融商品取引法133条は、金融商品取引所が受託契約準則を定めなければならないとしている。

なお、「会員等」とは、金融商品取引所の会員・取引参加者である金融商品取引業者等である。

(受託契約準則及びその記載事項)

金融商品取引法第百三十三条  会員等は、取引所金融商品市場における有価証券の売買又は市場デリバティブ取引(有価証券等清算取次ぎを除く。)の受託については、その所属する金融商品取引所の定める受託契約準則によらなければならない。

  金融商品取引所は、その受託契約準則において、その開設する取引所金融商品市場ごとに、当該取引所金融商品市場における次に掲げる事項に関する細則を定めなければならない。

  有価証券の売買又は市場デリバティブ取引の受託の条件

  有価証券の売買又は市場デリバティブ取引の受渡しその他の決済方法

  有価証券の売買の受託についての信用の供与に関する事項

  前三号に掲げる事項のほか、有価証券の売買又は市場デリバティブ取引の受託に関し必要な事項

 受託契約準則は、以下の場合に、内閣総理大臣が関与し、金融商品取引の適正を確保する。

1、金融商品取引所の免許申請時(金融商品取引法82条1項1号)

2、受託契約準則の変更時(149条1項)

3、内閣総理大臣が金融商品取引所に対して行う監督処分のとき(152条1項1号)

4、業務改善命令のとき(153条)

最高裁判所第3小法廷判決昭和37年2月6日、裁判集民事58号513頁、商事法務248号477頁、『金融商品取引法判例百選』63事件

証券取引所の定める受託契約準則は普通契約約款の一種に属する。取引所の会員たる証券業者と顧客との間の株式売買委託契約については、当事者間に別段の特約がない限り、証券取引所の定める受託契約準則に従って契約したものと認めるべきである。

その理由は以下のとおりである。受託契約準則は旧・証券取引法130条に基き証券取引所が設立に際し制定する取引所会員と受託者間の委託売買取引に関する細則を定めたもので〔その制定には大蔵大臣の免許、その変更にはその認可を要する〕あって、いわゆる普通契約約款の一種に属するものと解すべく、普通契約約款の支配する取引においては当事者間に別段の特約のないかぎり当事者がたとえ約款内容を具体的に了知しなくとも当該約款によって契約したものと認められるべき効力を生ずるものであり、本件受託契約準則もまた同様のものと解すべきである。それゆえ原判決が「特段の反証なき限り証券業者と顧客との間の株式売買委託の信用取引については……受託契約準則による意思を有していたと認めるべきであり……」と判示したのは相当である。準則はこれに準拠する積極的意思が認められない場合でも原則として当事者間に効力を生ずる。

 なお、商品取引所法に基づく受託契約準則について、最高裁昭和44・2・13民集23巻2号236頁は、準則は、当事者間に特段の約定がない限り、商品仲買人と委託者を拘束し、準則が改正された後の準則は、改正後の売買取引の委託について、委託者をも拘束すると判示している。

最高裁判所第1小法廷昭和49年4月25日、裁判集民事111号599頁、金融法務事情720号32頁、損害賠償請求事件、金融商品取引法判例百選65事件

【判決要旨】

一、(当時の)東京証券取引所受託契約準則5条の法的性質は、訓示規定と解すべきである。

二、顧客の買付代金不払いの売買、証券取引所会員の反対売買による決済義務はない。すなわち、顧客が所定の時限までに買付代金を東京証券取引所会員に交付しない場合、会員は、(当時の)東京証券取引法所受託契約準則13条の9により、顧客の計算において買付け証券を売却して買付け代金に充当する権限を有するが、直ちに買付証券を売却すべき義務を負わない。


 旧・証券取引法130条は、証券取引所に対し受託契約準則(以下、準則という)の制定を命じ、かつ、その会員に対しては、有価証券市場における売買取引の受託は、当該会員の所属する証券取引所の定める準則によるべきものとしている。

この準則は、普通契約約款であり、顧客を拘束する効力を有すると解されている(最高裁判所第3小法廷判決昭和37年2月6日、裁判集民事58号513頁、商事法務248号477頁、『金融商品取引法判例百選』63事件)。すなわち、証券取引所の定める受託契約準則は普通契約約款の一種に属する。取引所の会員たる証券業者と顧客との間の株式売買委託契約については、当事者間に別段の特約がない限り、証券取引所の定める受託契約準則に従って契約したものと認めるべきである。

通説も同旨である(鈴木『証券取引法』246頁、大原『証券・商品取引判例百選』26頁など)。

しかし、準則に違反する売買取引委託は直ちに無効であるとはいえないであろう。

なお、商品取引所の受託契約準則に違反する商品取引受託契約は無効ではないと解されている(最判昭和40・5・4裁判集民事79号39頁)。

当時の東京証券取引所受託契約準則5条は「電話又は電信によって売買取引の委託を受けようとする会員は、誤報・誤認によって生じる損失について予め顧客と書面により契約し、その写を取引所に提出しなければならない。」と定めていた。

当時の東京証券取引所受託契約準則5条は、実際にも遵守されていなかったとされている(鈴木・前掲250頁)。判旨一は正当であろう。

 判旨二について。

当時の東京証券取引所受託契約準則13条の9は、委託者の受渡不履行の場合における会員(証券会社)の自動売却権(反対売買権)を認めたものであるが、①これが義務であるかどうか、また、②権利行使の方法について、担当の期間を定めて催告することを要するか等につき問題のあったところである(野尻『証券・商品取引判例百選』149頁)。

本判決は、①の点については、反対売買が会員の義務でないとし、通説(鈴木・前掲255頁、河本ほか『証券取引の実務相談』187頁[神崎]、近藤『株式取引に関する研究』88頁等)および従来の判例(大判昭和7・9・13新報304号13頁等)の立場をとることを明らかにしたものである。

なお、商品取引につき同旨の判例がある(最判昭和43・2・20民集22巻2号257頁)。

また、本判決は、②の点につき、催告の要否については直接判示していないが、権利行使の時期につき、会員が、信義則上一定の義務を負うものであることを判示している点は、留意すべきであろう。