「Aさん、どうしたの?元気ないね?もっと元気に仕事してもらわなきゃあ困るよ。君はリーダーなんだから。」
と、店長から注意をされたパート・アルバイトリーダーのAさん。いつもは、誰よりも元気な声と笑顔で店全体を明るくしスタッフを引っ張るAさんです。しかし、この日はなんだか朝から落ち込んだ様子。ランチタイムを控えた店長は、そんな彼女に対して元気を出すようにハッパを掛けたつもりでした。
しかし、その言葉をかけられた瞬間、Aさんの眼からは大粒の涙が溢れ出しました。店長はビックリしましたが、なぜ彼女が泣き出したのかは、まったく理由がわかりませんでした。
彼女が泣き出した理由を探るには、この日の朝まで時間を遡ることになります。
この日、彼女は、ある新人スタッフのトレーニングについての悩みを店長に聴いて欲しくって、出勤した店長を捕まえて話をし始めました。しかし、話す内容をうまくまとめ切れていなかった彼女の話は長くなり、なかなか要領を得ないものになってしまったのです。そう言う彼女に対して店長が言った言葉は、
「で、何が言いたいの?」でした。
彼女は相当ショックを受けたのですが、要領よく話せなかった自分に非があると思って、もうそれ以上は何も話せませんでした。
「話があるならばもう少し整理して話してね。今日も忙しいんだから・・・」
店長の言葉に彼女は小さな声で、「はい。」としか答えられませんでした。
彼女からすれば、自分が担当している新人スタッフに対する悩みを言うのは、自分がしっかり教育できていないことをさらけ出すようで恥ずかしかったのです。その為、無意識にその言い訳を交えて話をしてしまったため、話の要点が上手く伝わらなかったのですが、彼女は、店長ならば自分のこの気持ちはわかってくれる、ちゃんと話を聴いて何かアドバイスをくれると期待しての相談だったのです。
しかし、店長はそこまで彼女の気持ちを理解していませんでした。そして、彼女の期待を裏切るどころか、彼女の気持ちに水を差すような冷たいひと言を言ってしまったのです。さらに、ランチタイムの立ち上がりに店長が彼女にかけた励ましのつもりの言葉で、彼女の悲しい気持ちを堰き止めていたダムは一気に崩壊してしまったのです。
もちろん、店長自身は、彼女を傷つけるつもりもなく、厳しく叱咤する気持ちもありません。朝も、ランチ前もいつもと同じような気持ちでいたのです。でも、彼女は全然違いました。新人スタッフについてどうしたら良いんだろうと悩みに悩んでいたのです。店長は、そんな彼女の気持ちに気がつかなかったのです。
彼女が泣き止み、何とかランチタイムを終えた店長は早速彼女からもう一度話を聴くことにしました。そして、自分が彼女の気持ちをまったく理解せずに、軽い気持ちで言った「何が言いたいの?」と言うひと言が彼女の心を大きく傷つけてしまったことを知りました。
さて、あなたにはこういうことはありませんか?実は、私には経験があります。恥ずかしながら、昔も今も、何気ないひと言で相手を傷つけてしまう。そんな失礼なことがあります。相手軸の大切さを唱えながら、自分のペースで相手と会話してしまうのです。
そんな私が、今心がけているのが、「とにかく相手の話を最後まで聴く」と言う基本姿勢です。ただ、あまり時間に余裕がない時に、やむを得ず話を打ち切るとき、また、もう一度時間を取る必要があるときは、それを丁寧に相手に伝えることを心がけるようにしています。相手に取っては、それで100%満たされるわけではありませんが、「真剣に聴く」そして「時間が無ければ、また後で時間を取って聴く」と言う真摯な姿勢が相手に伝われば、いたずらに相手を傷つけることはないでしょう。
私自身、上司に相談をしに行ったときは、結構傷ついて帰ってきたものです。その時の悲しい気持ちを忘れずに、相手軸に立って、相手の話を聴くことの出来る人になりたいですね。
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