金融法の読んだ本(その1) - 民事家事・生活トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
弁護士

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金融法の読んだ本(その1)

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相続

金融法の読んだ本(その1)

神田秀樹ほか『金融法講義』(2013年、岩波書店)
本文約500頁。
東京大学での金融法の講義を再現したという、ある意味、決定版といえる本である。ただし、金融商品取引法については、網羅的に解説されていない。
論述の基調は、やや金融機関(特に都市銀行)寄りではないかと思われる。
解説のレベルは客観的であり、おおむね高いといえる。
第1章 金融法概観
金融取引に関する特別法、銀行法などの概説
Ⅰ 伝統的銀行取引
第2章 受信取引法
第3章 与信取引法1-貸出し
第4章 与信取引法2-債権管理・債権回収
Ⅱ 現代型金融取引
第5章 シンジケート・ローン
第6章 デリバティブ
第7章 資産運用
第8章 社債
第9章 LBO・MBO
第10章  証券化


滝澤孝臣・編著『金融取引関係訴訟』(リーガル・プログレッシブ・シリーズ№11)2011年、青林書院
本文約177頁。
裁判官による共同執筆。実体法と訴訟法の双方の問題を意識して執筆されている。端的に問題点、結論、根拠条文、理由づけ、関係判例が簡潔にまとめられている。ダラダラ書いていないため、通読に向いている。
ただし、根拠条文、関係判例およびその理由づけについては、自分で確認する必要がある。
また、当該金融取引の仕組み自体についての説明がほとんど記載されていないため、初学者がいきなり本書だけで理解するのは難しいであろう。
第1章 金融商品取引関係訴訟(取引損害訴訟、差損金請求訴訟、デリィバティブ取引関係訴訟、外国証券取引関係訴訟)
第2章 金融商品販売関係訴訟(預貯金取引関係訴訟、信託取引関係訴)
第3章 商品先物取引関係訴訟(損害賠償請求訴訟)
第4章 貸金業取引関係訴訟(貸主側の提起する訴訟、借主側の提起する訴訟)
第5章 信販取引関係訴訟(販売業者等の提起する訴訟、購入者等の提起する訴訟)
第6章 特定商取引関係訴訟(販売者等の提起する訴訟、購入者等の提起する訴訟)


近藤光男『基礎から学べる金融商品取引法(第2版)』
 本文は約210頁ある。2日で読める。私が短期集中で読めたのは予備知識があったからですが、集中力のある方ならば、1日で読めると思います。
近藤教授は、証券取引法が改正されて金融商品取引法という名称に代わる前から、『証券取引法読本』という概説書を出されていた権威である。『証券取引法読本』は、私は弁護士になってから、筑波大学院のときに、「証券取引法」の講義を受講した際に、テキストとして指定されていたので、読んだ。
証券取引法については、例えば、野村証券が東京大学に同法の寄付講座を設けてもらったり、法律や定義の名称、適用される対象が証券会社であったりして、証券会社の特別法という印象が強かった。
私は、社会人向けコースの筑波大学院の法学修士課程(企業法学専攻)で証券取引法の講義(2単位)を受けて、教材として指定された近藤教授の『証券取引法読本』で、はじめて証券取引法を勉強した。その頃は、インサイダー取引に関する刑事事件を除けば、裁判例も少なかった。
しかし、証券取引法が金融商品取引法と名称が改正され、金融商品取引法の適用される対象が金融商品一般となった。その意味では、金融商品取引法は金融商品の一般法となったといっても過言ではない。それに伴い、概念定義が抽象度を増し、条文の数も増え、準用条文や政令委任などが増えて複雑となった。
また、例えば、旧商法では「新株発行」「自己株式の処分」、会社法では「募集株式の発行等」という概念とは違い、金融商品取引法では「売出し」などの独自の概念が用いられている。
もっとも、本書を読むと、概念の定義、制度趣旨が平易に丁寧に書かれているため、テクニカルタームをまずは覚え、制度趣旨から考えて、金融商品取引法の規制からすると、こうなるはずと考えながら読むと、理解しやすいと思われる。名称が似ているが、類似の別の概念・用語は、定義にさかのぼれば区別できるし、それぞれの要件・効果も確認しておくとよい。
ただし、金融商品取引法は毎年改正されている。平成24年改正までフォローしている本書刊行後、平成25年にも、金融商品取引法の改正がされているので、留意が必要である。
(気がついた点)
・83頁、「(損害因果関係)」と記載があるが、「(損害、因果関係)」または、「(損害と因果関係)」の誤記であろう。
・150頁、おそらくモリテックス事件であろうが、「近時の裁判例」として、出典が示されていなかった。法律の本では、出典を示すべきである。


清原 健ほか『Q&A 金融商品取引法制の要点』新日本法規 平成19年
本文417頁。巻末付録として、用語集が付いているので便利である。
1日で読み終えました。
旧・証券取引法から金融商品取引法に変わった際の制度趣旨が詳しく書かれている。
ただし、金融商品取引法は毎年改正されているので、本文・用語集ともに、その後の改正を補う必要がある。


大崎貞和『解説 金融商品取引法(第3版)』弘文堂 平成19年
上記書籍のうち、以下の部分を読みました。
金融商品取引法の適用対象


田中信之『基礎から学ぶ不動産実務と金融商品取引法』(2008年初版、2011年初版第2刷)
同書では、不動産証券化と金融商品取引法との関係について、ビジネス面でのスキーム説明が分かりやすく説明されている。本文は200頁弱であり、図表も多いので、1日で読める。
同書では、金融商品取引法の厳しい規制を受けない「2層ファンド」が詳しく説明されている。同スキームのデメリットとして、①複雑な仕組みになっているため、財務内容などが部外者にはわかりにくい、②親ファンドと子ファンドに二重に費用・手数料がかかる、メリットとして、①分散投資をしやすい、②倒産隔離がしやすい、③関係業者が二重に手数料を稼げる、といった点が挙げられよう。しかし、例えば、J-REITでは既に倒産した例があるから、倒産隔離は決定的なメリットではない。また、ある投資ファンドでは、多額の損失を出した事例もある(新聞報道によれば、村上ファンド、AIG投資顧問など)。結局、大口の適格機関投資家、特定の超富裕投資家を除けば、「2層ファンド」を用いる必要性はなさそうである。もっとも、憶測ではあるが、著者にしてみれば、そのような超富裕層を対象にしていると反論されそうだが。
同書148頁に、中間法人法による有限責任中間法人を用いるスキームがあるとの記述がある。しかし、これは明らかな誤りである。中間法人法による有限責任中間法人は、かって存在したが、平成20年に「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行され、中間法人法は廃止されている。したがって、現在は、有限責任中間法人を使ったスキームは存在しない(神田秀樹ほか『金融法講義』(2013年)494頁)。
その他、金融商品取引法は毎年改正されているので、2008年初版の同書では、ビジネス的な考えはともかく、法的な面での正確性について、不安が残った。