現在は、「お店の居心地」を求めるお客さんが多くなっています。味や接客サービス、雰囲気の良さは多くのお店がクリアーしていて、次の課題として居心地が求められるようです。そのため、価格は少しくらい高くても大丈夫で、その代わり長く居続けることができる店が重要視されます。
この背景には、お客さんの高齢化が影響しています。国内消費の半数以上を占めるといわれる、50歳以上の人たちのニーズが居心地を後押ししています。一度店内に入ったら、慌しい時間を過ごすことなく、ノンビリと高齢者時間を過ごしたい希望があるようです。
また、ビジネスの一線でばりばり働いている人も、息抜きをするために、料金のことは考えずにノンビリと居心地のよい場所を選びます。象徴的な店舗はファミリーレストラン。東京郊外のファミレスの場合、ほとんどの店がファミリー向けというより、友達や仲間向けに落ち着いた内装にしています。
日替わり定職とドリンクバーで1千円超のメニューですが、店内に入りきれず席待ちのお客さんがいつもいる状態です。ファミレス同様に大型珈琲店も、居心地のよさを売り物にお客さんを集めています。高価格と高品質メニューの組み合わせによって、以前のようにお店の回転率を競うことはなくなりました。
お店の居心地のよさは、決してファミレスや大型珈琲店に限った話ではないようです。飲食店ばかりでなく、小売店や惣菜店、サービス業でも生かすことができないか、考えてみてはいかがでしょうか。時代の空気が、ぎすぎすして言いたいことの言えない空気の中、居心地のよさを求めているような気がします。
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