企業の不法行為、被害者救済“法案可決” - リスクマネジメント・BCP - 専門家プロファイル

西野 泰広
REPsコンサルティング レップスコンサルティング 代表
埼玉県
経営コンサルタント

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寺崎 芳紀
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閲覧数順 2024年04月25日更新

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企業の不法行為、被害者救済“法案可決”

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企業のリスクマネジメント 集団的消費者被害回復制度

特定適格消費者団体による集団訴訟請求の対象となる範囲と行為。

 この集団訴訟請求の対象は、企業(事業者)の契約不履行・不法行為で発生した損害賠償請求や不当利得返還請求など、財産的な被害回復に限定されています。よって製品の事故などで生命、身体、家財に生じた損害や慰謝料や逸失利益などは除外されると思われます。

 

対象となるのは下記の行為です。
 [1] 契約上の債務履行の請求 
 [2] 不当利得に係る請求
 [3] 契約上の債務不履行/不完全履行による損害賠償の請求 
 [4] 瑕疵担保責任に基づく損害賠償の請求 
 [5] 不法行為に基づく民法の規定による損害賠償の請求 
      (注)被告となるのは、消費者契約の相手方である事業者です

   ([5]は履行しない債務への、勧誘や助長などの行為を行う事業者も対象となり得ます)

これまでの「消費者団体訴訟制度」は、適格消費者団体が被害に遭われた消費者にかわり、企業
(事業者)の “ 不当な行為をやめさせる ”  差止請求でしたが、この制度は更に踏み込んだ「損害
賠償請求」まで出来る権利を国が特定適格消費者団体に与える画期的な制度です。
  ※アメリカで行われているクラスアクションと似た制度。

 ではどのようなものが対象になるか、少し具体的にその内容をお伝えします。
[事案例1]
 Aさんは、Bネットショップで商品を購入し支払を済ませたが、納品期日になっても商品が送られて
 こない。 

[事案例2]
 Dさんは、Eネットショップでブランド物の財布を購入し支払を済ませ、商品が送られてきたが、後日
 模造品であることが分かった。

[事案例3]
 Jさんは、K工務店に“壁ぬり”の契約をして代金支払をしたが、開始期日に作業者の手配が出来ない
 ため遅れると連絡があったが1ヵ月が過ぎても作業が開始されず契約を無効とした。 

[事案例4]
 Pさんは、Q電気からLメーカーの携帯音楽プレーヤーをインターネットで購入し支払を済ませたが、
 送られてきた商品には、商品公告に記載されていた機能がなかった。 公告には、テレビ番組とラジオ
 番組の音声が聞けると書かれていたが、実際はテレビ番組の音声は聞けなかった。 

[事案例5]
 Sさんは、T社からインターネット閲覧ソフトを購入し使用していたが、ある日、第三者機関から重大な
 セキュリティーホールがあることが告げられた。

 

このような場合は、購入者(買主)は販売者(売主)に対し、 ・契約解除  ・債務履行/完全履行 
・瑕疵修補 ・損害賠償などの請求を行うことができる可能性があります。
  ※請求が出来るか出来ないかは裁判所の判断となります。

しかしながら被害が少額のため、訴訟手続などの手間や時間拘束などの煩わしさで“泣き寝入り”に
至っていたのが、この制度が施行されれば手続きの煩わしさが軽減されるため、被害者にとっては有益
な制度となります。

 

ただこの制度も問題が“ゼロ”ではありません。

【制度のプロセス】
(1)被害者が多数存在する事案が対象と思われます。
     ※具体的な人数は不明ですが、数名程度の事案は対象外と考えます。

(2)訴訟段階が二段階に分かれているため、解決までに時間がかかる可能性があります。
   ※泣き寝入りしていたことを思えば、長期化するのは我慢できるはずです。

(3)特定適格消費者団体の被害救済の呼びかけに、能動的に参加(オプト・イン)しなければ救済を
     受ける機会を逃すことになります。

(4)特定適格消費者団体の被害救済の呼びかけに、意図的に参加しなかった・失念し参加することが
     出来なかった場合は、被害者が個々に訴訟を提起することが出来ます。
     そのため一回的解決が図れない可能性があります。

    ※ 企業(事業者)が勝訴した場合でも個別の消費者に対しては効力が及ばないため、個別の消費者として別途に
     訴訟を起こすことが可能です。

このように多少の問題はありますが、被害者には有益であり、企業(事業者)にとっては脅威な制度
となります。 また企業(事業者)の不法行為を牽制する働きも期待出来ます。 

消費者の皆様はこの制度のプロセスを理解することが、被害回復のKeyとなります。

 

これが特定適格消費者団体による集団訴訟請求の内容です。

 

 

 

 

 

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