- 村田 英幸
- 村田法律事務所 弁護士
- 東京都
- 弁護士
対象:民事家事・生活トラブル
- 榎本 純子
- (行政書士)
「土地収用法」
同法は、公共事業のために土地などを強制的に収用する手続を定めている。
判例が多くある同法について解説している。
ただし、損失補償をめぐる訴訟が、行政事件訴訟法の当事者訴訟の典型である論点の指摘が抜けていた。
都市施設用地としての民有地選定の違法性
最高裁平成18・9・4
建設大臣が,林業試験場の跡地を利用して設置される公園に関する都市計画を決定するに当たって,上記試験場には貴重な樹木が多くその保全のためには上記試験場の南門の位置に上記公園の南門を設けるのが望ましいという前提の下に,南門と区道との接続部分として利用するため,上記試験場と区道とに挟まれた土地のうち,国家公務員宿舎の敷地として利用されている国有地ではなく,これに隣接する民有地を上記公園の区域に定めたことについて,南門の位置を変更し上記民有地ではなく上記国有地を上記公園の用地として利用することにより上記試験場の樹木に悪影響が生ずるか,悪影響が生ずるとしてこれを樹木の植え替えなどによって回避するのは困難であるかなど,建設大臣の判断が合理性を欠くものであるかどうかを判断するに足りる具体的な事実を確定することなく,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものということはできないとした原審の判断には,違法がある。
損失補償
最高裁昭和48・10・18
旧都市計画法(大正八年法律第三六号)一六条一項に基づき土地を収用する場合、被収用者に対し土地収用法七二条(昭和四二年改正前のもの)によって補償すべき相当な価格を定めるにあたっては、当該都市計画事業のため右土地に課せられた建築制限を斟酌してはならない。
損失補償額算定方法の合憲性
最高裁平成14・6・11
土地収用法71条は,憲法29条3項に違反しない。
文化財的価値の損失
最高裁昭和63・1・21(わじゅうてい事件)
輪中堤(堤防)の敷地が収用された場合に右輪中堤の文化財的価値が土地収用法(昭和四二年改正前のもの)88条による損失補償の対象となり得ないとされた事例
江戸時代初期から水害より村落共同体を守ってきた輪中堤の典型の一つとして歴史的、社会的、学術的価値を内包している輪中堤(堤防)の文化財的価値は、その敷地の不動産としての市場価格の形成に影響を与えないものとして、土地収用法(昭和四二年改正前のもの)88条による損失補償の対象となり得ない。
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