任意継続被保険者 (5) - 独立開業全般 - 専門家プロファイル

後藤 義弘
代表取締役
社会保険労務士

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対象:独立開業

尾崎 友俐
尾崎 友俐
(経営コンサルタント)

閲覧数順 2024年04月25日更新

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任意継続被保険者 (5)

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Q&A番外編 社会保険
(前号からの続き)

[関連Q&A]
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さらに、家族がいる場合の「扶養」の扱いについてみてみましょう。

「国保」には(一部例外はありますが)「健保」のように「扶養家族」という考え方は存在しません。 
例えば在職中パート(例えば年収100万円程度)として働く妻を会社の「健保」の「被扶養者」としていた場合、退職後の「国保」へのスイッチが家族全体の保険料負担にどのような影響を及ぼすのでしょうか?

「扶養」の仕組みを持たない「国保」への切り替えにより、当然妻は「扶養」から外れ、自らの前年の所得が世帯合算されてはじき出された「住民税」をベースに夫と同じく「国保」加入となり、世帯で一本化した保険料を負担しなければならなりません。

一方「任継」を選択した場合、在職中の会社の健康保険制度を退職後も一定期間引き継げるわけですから、妻の「扶養」というメリットもそのまま「継続」でき、上のような妻の所得が考慮された保険料負担の回避が可能となりやはり「任継」選択が有利となります。

したがって、会社勤めの方が会社を退職されて事業を始められる、つまり「脱サラ」の場合は

 (1) 前年の「住民税」の額  [注3]
 (2) 退職時のお給料の額(「標準報酬月額」)

[注3] それぞれの市区町村ごとに計算式が用意されているので、それにあてはめれば簡単に国保の保険料が試算できます。

この2つの数字を準備し、まずは事業を始められるまでの短期的な(公的)医療保険額負担を上シュミレーションのように試算した上で、ご自身にとってどちらが有利なのかを退職前に事前に検証しておきましょう。

このような退職前の綿密な「計画性」が、不要な出費(コスト)を抑え、ひいては事業主としての原価意識を高める効果にもつながる… この段階からすでに事業は始まっているのです。