プログラムの著作物 - 民事事件 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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プログラムの著作物

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プログラムの著作物

著作権法

 プログラム とは、「電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したもの」をいう(著作権法2条1項10号の2)。
 プログラムの著作物は、著作物として、例示されている(著作権法2条1項9号)。

 プログラムの著作物に対する著作権法による保護は、その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない。この場合において、これらの用語の意義は、次の各号に定めるところによる(著作権法10条3項)。
一  プログラム言語 プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系をいう。
二  規約 特定のプログラムにおける前号のプログラム言語の用法についての特別の約束をいう。
三  解法 プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法をいう。


・著作者

(職務上作成する著作物の著作者)
 法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする(著作権法15条1項)。
 法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする(著作権法15条2項)。公表は要件とされていない。
・プログラムの著作物の作成を下請けさせる場合、公表名義を委託者とする契約実務はよく知られている。

最高裁平成15・4・11(RGBアドベンチャー事件)
いわゆる観光ビザにより我が国に滞在した外国人であるデザイナー甲が,アニメーション等の企画,撮影等を業とする株式会社乙の従業員宅に居住し,その事務所で作業を行い,乙から毎月基本給名目で一定額の金銭の支払を受けて給料支払明細書も受領し,乙の企画したアニメーション等に使用するものとして図画を作成したなど判示の事実関係の下においては,甲がした作業について乙が指揮監督をしていたかどうかを確定することなく,甲の在留資格の種別,雇用契約書の存否等の形式的な事由を主たる根拠として,甲と乙との間の雇用関係の存在を否定し,甲が著作権法15条1項にいう「法人等の業務に従事する者」に当たらないとした原審の判断には,違法がある。


・保護期間
 (団体名義の著作物の保護期間)
 法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作権は、その著作物の公表後50年(その著作物がその創作後50年以内に公表されなかったときは、その創作後50年)を経過するまでの間、存続する(著作権法53条1項)。
 

・著作者人格権の特別規定

翻案権(27条)と翻案物(二次的著作物)の利用権(28条)に関する著作権法61条、
著作者人格権、氏名表示権と刑事罰(121条)、同一性保持権と包括的改変合意(20条)にかかる契約の有効性、みなし侵害(113条2項)

(同一性保持権)
第20条  著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。
2  同一性保持権(著作権法20条1項)の規定は、次の各号のいずれかに該当する改変については、適用しない(著作権法20条2項3号)。
三  特定の電子計算機においては利用し得ないプログラムの著作物を当該電子計算機において利用し得るようにするため、又はプログラムの著作物を電子計算機においてより効果的に利用し得るようにするために必要な改変
四  前三号に掲げるもののほか、著作物の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変

(著作権の譲渡)
第61条  著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる。
2  著作権を譲渡する契約において、第27条又は第28条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。
第121条  著作者でない者の実名又は周知の変名を著作者名として表示した著作物の複製物(原著作物の著作者でない者の実名又は周知の変名を原著作物の著作者名として表示した二次的著作物の複製物を含む。)を頒布した者は、1年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
(注)大審院は、本人の許諾を得た代作者について、旧著作権法の犯罪に該当しないと判示している。

  
・著作権の制限

 (プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等)
第47条の3  プログラムの著作物の複製物の所有者は、自ら当該著作物を電子計算機において利用するために必要と認められる限度において、当該著作物の複製又は翻案(これにより創作した二次的著作物の複製を含む。)をすることができる。ただし、当該利用に係る複製物の使用につき、第113条第2項の規定が適用される場合は、この限りでない。
2  前項の複製物の所有者が当該複製物(同項の規定により作成された複製物を含む。)のいずれかについて滅失以外の事由により所有権を有しなくなった後には、その者は、当該著作権者の別段の意思表示がない限り、その他の複製物を保存してはならない。

(保守、修理等のための一時的複製)
第47条の4  記録媒体内蔵複製機器(複製の機能を有する機器であって、その複製を機器に内蔵する記録媒体(以下この条において「内蔵記録媒体」という。)に記録して行うものをいう。次項において同じ。)の保守又は修理を行う場合には、その内蔵記録媒体に記録されている著作物は、必要と認められる限度において、当該内蔵記録媒体以外の記録媒体に一時的に記録し、及び当該保守又は修理の後に、当該内蔵記録媒体に記録することができる。
2  記録媒体内蔵複製機器に製造上の欠陥又は販売に至るまでの過程において生じた故障があるためこれを同種の機器と交換する場合には、その内蔵記録媒体に記録されている著作物は、必要と認められる限度において、当該内蔵記録媒体以外の記録媒体に一時的に記録し、及び当該同種の機器の内蔵記録媒体に記録することができる。
3  前二項の規定により内蔵記録媒体以外の記録媒体に著作物を記録した者は、これらの規定による保守若しくは修理又は交換の後には、当該記録媒体に記録された当該著作物の複製物を保存してはならない。

(送信の障害の防止等のための複製)
第47条の5  自動公衆送信装置等(自動公衆送信装置及び特定送信装置(電気通信回線に接続することにより、その記録媒体のうち特定送信(自動公衆送信以外の無線通信又は有線電気通信の送信で政令で定めるものをいう。以下この項において同じ。)の用に供する部分(第1号において「特定送信用記録媒体」という。)に記録され、又は当該装置に入力される情報の特定送信をする機能を有する装置をいう。)をいう。以下この条において同じ。)を他人の自動公衆送信等(自動公衆送信及び特定送信をいう。)の用に供することを業として行う者は、次の各号に掲げる目的上必要と認められる限度において、当該自動公衆送信装置等により送信可能化等(送信可能化及び特定送信をし得るようにするための行為で政令で定めるものをいう。)がされた著作物を、当該各号に定める記録媒体に記録することができる。
一  自動公衆送信等の求めが当該自動公衆送信装置等に集中することによる送信の遅滞又は当該自動公衆送信装置等の故障による送信の障害を防止すること  当該送信可能化等に係る公衆送信用記録媒体等(公衆送信用記録媒体及び特定送信用記録媒体をいう。)以外の記録媒体であって、当該送信可能化等に係る自動公衆送信等の用に供するためのもの
二  当該送信可能化等に係る公衆送信用記録媒体等に記録された当該著作物の複製物が滅失し、又は毀損した場合の復旧の用に供すること  当該公衆送信用記録媒体等以外の記録媒体(公衆送信用記録媒体等であるものを除く。)
2  自動公衆送信装置等を他人の自動公衆送信等の用に供することを業として行う者は、送信可能化等がされた著作物(当該自動公衆送信装置等により送信可能化等がされたものを除く。)の自動公衆送信等を中継するための送信を行う場合には、当該送信後に行われる当該著作物の自動公衆送信等を中継するための送信を効率的に行うために必要と認められる限度において、当該著作物を当該自動公衆送信装置等の記録媒体のうち当該送信の用に供する部分に記録することができる。
3  次の各号に掲げる者は、当該各号に定めるときは、その後は、当該各号に規定する規定の適用を受けて作成された著作物の複製物を保存してはならない。
一  第1項(第1号に係る部分に限る。)又は前項の規定により著作物を記録媒体に記録した者 これらの規定に定める目的のため当該複製物を保存する必要がなくなったと認められるとき、又は当該著作物に係る送信可能化等が著作権を侵害するものであること(国外で行われた送信可能化等にあっては、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものであること)を知ったとき。
二  第1項(第2号に係る部分に限る。)の規定により著作物を記録媒体に記録した者 同号に掲げる目的のため当該複製物を保存する必要がなくなったと認められるとき。

(送信可能化された情報の送信元識別符号の検索等のための複製等)
第47条の6  公衆からの求めに応じ、送信可能化された情報に係る送信元識別符号(自動公衆送信の送信元を識別するための文字、番号、記号その他の符号をいう。)を検索し、及びその結果を提供することを業として行う者(当該事業の一部を行う者を含み、送信可能化された情報の収集、整理及び提供を政令で定める基準に従って行う者に限る。)は、当該検索及びその結果の提供を行うために必要と認められる限度において、送信可能化された著作物(当該著作物に係る自動公衆送信について受信者を識別するための情報の入力を求めることその他の受信を制限するための手段が講じられている場合にあっては、当該自動公衆送信の受信について当該手段を講じた者の承諾を得たものに限る。)について、記録媒体への記録又は翻案(これにより創作した二次的著作物の記録を含む。)を行い、及び公衆からの求めに応じ、当該求めに関する送信可能化された情報に係る送信元識別符号の提供と併せて、当該記録媒体に記録された当該著作物の複製物(当該著作物に係る当該二次的著作物の複製物を含む。以下「検索結果提供用記録」という。)のうち当該送信元識別符号に係るものを用いて自動公衆送信(送信可能化を含む。)を行うことができる。ただし、当該検索結果提供用記録に係る著作物に係る送信可能化が著作権を侵害するものであること(国外で行われた送信可能化にあっては、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものであること)を知ったときは、その後は、当該検索結果提供用記録を用いた自動公衆送信(送信可能化を含む。)を行ってはならない。

(情報解析のための複製等)
第47条の7 著作物は、電子計算機による情報解析(多数の著作物その他の大量の情報から、当該情報を構成する言語、音、影像その他の要素に係る情報を抽出し、比較、分類その他の統計的な解析を行うことをいう。)を行うことを目的とする場合には、必要と認められる限度において、記録媒体への記録又は翻案(これにより創作した二次的著作物の記録を含む。)を行うことができる。ただし、情報解析を行う者の用に供するために作成されたデータベースの著作物については、この限りでない。

(電子計算機における著作物の利用に伴う複製)
第47条の8  電子計算機において、著作物を当該著作物の複製物を用いて利用する場合又は無線通信若しくは有線電気通信の送信がされる著作物を当該送信を受信して利用する場合(これらの利用又は当該複製物の使用が著作権を侵害しない場合に限る。)には、当該著作物は、これらの利用のための当該電子計算機による情報処理の過程において、当該情報処理を円滑かつ効率的に行うために必要と認められる限度で、当該電子計算機の記録媒体に記録することができる。

(複製権の制限により作成された複製物の譲渡) 
第47条の9  第31条第1項(第1号に係る部分に限る。以下この条において同じ。)、第32条、第33条第1項(同条第4項において準用する場合を含む。)、第33条の2第1項若しくは第4項、第34条第1項、第35条第1項、第36条第1項、第38条、第38条の2(第2号を除く。以下この条において同じ。)、第39条第1項、第40条第1項若しくは第2項、第41条から第42条の2まで、第42条の3第2項又は第46条から第47条の2までの規定により複製することができる著作物は、これらの規定の適用を受けて作成された複製物(第31条第1項、第35条第1項、第36条第1項又は第42条の規定に係る場合にあっては、映画の著作物の複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあっては、当該映画の著作物の複製物を含む。以下この条において同じ。)を除く。)の譲渡により公衆に提供することができる。ただし、第31条第1項、第33条の2第1項若しくは第4項、第35条第1項、第38条第3項、第38条の2、第41条から第42条の2まで、第42条の3第2項又は第47条の2の規定の適用を受けて作成された著作物の複製物(第31条第1項、第35条第1項又は第42条の規定に係る場合にあっては、映画の著作物の複製物を除く。)を、第31条第1項、第33条の2第1項若しくは第4項、第35条第1項、第38条第3項、第38条の2、第41条から第42条の2まで、第42条の3第2項又は第47条の2に定める目的以外の目的のために公衆に譲渡する場合は、この限りでない。
   

・プログラムの著作物の登録

(創作年月日の登録)
第76条の2
 プログラムの著作物の著作者は、その著作物について創作年月日の登録を受けることができる。ただし、その著作物の創作後六月を経過した場合は、この限りでない。
2 前項の登録がされている著作物については、その登録に係る年月日において創作があったものと推定する。
(著作権の登録)
  著作権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)などは、登録しなければ、第三者に対抗することができない(著作権法77条)。

(登録手続等)
第78条
 著作権の登録は、文化庁長官が著作権登録原簿に記載し、又は記録して行う(著作権法78条1項)。
2 著作権登録原簿は、政令で定めるところにより、その全部又は一部を磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。)をもって調製することができる(著作権法78条2項)。


(プログラムの著作物の登録に関する特例)
第78条の2
 プログラムの著作物に係る登録については、この節の規定によるほか、別に法律で定めるところによる。

・権利侵害

(侵害とみなす行為)
第113条  次に掲げる行為は、当該著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす。
一  国内において頒布する目的をもって、輸入の時において国内で作成したとしたならば著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権の侵害となるべき行為によって作成された物を輸入する行為
二  著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為によって作成された物(前号の輸入に係る物を含む。)を、情を知って、頒布し、頒布の目的をもって所持し、若しくは頒布する旨の申出をし、又は業として輸出し、若しくは業としての輸出の目的をもって所持する行為
2  プログラムの著作物の著作権を侵害する行為によって作成された複製物(当該複製物の所有者によって第47条の3第1項の規定により作成された複製物並びに前項第1号の輸入に係るプログラムの著作物の複製物及び当該複製物の所有者によって同条第1項の規定により作成された複製物を含む。)を業務上電子計算機において使用する行為は、これらの複製物を使用する権原を取得した時に情を知っていた場合に限り、当該著作権を侵害する行為とみなす。


・罰則
   
第120条の2
 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 技術的保護手段の回避を行うことをその機能とする装置(当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)若しくは技術的保護手段の回避を行うことをその機能とするプログラムの複製物を公衆に譲渡し、若しくは貸与し、公衆への譲渡若しくは貸与の目的をもって製造し、輸入し、若しくは所持し、若しくは公衆の使用に供し、又は当該プログラムを公衆送信し、若しくは送信可能化する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、著作権等を侵害する行為を技術的保護手段の回避により可能とする用途に供するために行うものに限る。)をした者



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