債務不履行の背景は、米国政府があらかじめ設定している、国債発行の上限額を今年10月1日以降は超えることです。オバマケアと呼ばれる国民健康保険制度を導入したため、多額の保険費用に使う国債発行が必要です。共和党は、1年に限ってこの費用を認めようしていますが、大統領は継続的に続けることを考えています。
アメリカには、日本のような全国民向けの健康保険がありません。高齢者向け保険と、低所得者向け保険はありますが、この両方に該当しない人は個人で民間の保険会社と契約しています。大統領は、ミドルクラスの復権と保険制度導入をマニフェストに載せて選挙で勝っていますから、共和党に対しては強気です。
そこで債務不履行ですが、わが国の場合は長期金利の上昇がキーポイントになりそうです。財務省が行う予算編成において、現在0.6%程度の金利が2%を超えるような事態になりますと、国債費が膨らんで前年と同じような予算が組めません。国債費を支払えない債務不履行はここから始まりそうです。
アメリカと違ってわが国は、赤字国債発行に対する歯止めがなくなっていますから、国会で騒ぐより先に、次年度の予算をいきなり減額するより手がありません。そのため、国民向けサービスの削減と公務員の給与減額がいきなり訪れそうです。政治家と官僚は責任の擦り付け合いで、ギリシャのように機能不全のなるような気がします。
起業する人の中には、このような事態になることを考えていると思います。今は順調な介護ビジネスも、今後は厳しくなることが予想されます。公共事業も減らされると思います。国の予算と関わりのあるビジネスは、規模を小さくしたり中止になることもありそうです。
アメリカの場合、潜在的経済成長率が高いですから、債務不履行で騒いでも元に戻す力があります。わが国は、経済成長に欠かせない人口が減少しますし、牽引役となりそうなイノベーションもありません。社会構造の変化も起こりそうにありませんから、国には頼らず自立の精神で進むしかありません。
【一言】
今回のアメリカ経済においても、民間経済はあまり大きな影響も受けずに、経済活動を続けています。国民生活は普段どおりに営まれますから、食品店も自動車販売も、居酒屋にしても営業していて、人気の店にはお客さんが集まります。財政破綻を悲劇的に考えるより、どうでもよい政治家や官僚をふるいにかけには、好都合の破綻と思ったほうがよさそうです。
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