- 村田 英幸
- 村田法律事務所 弁護士
- 東京都
- 弁護士
対象:企業法務
- 尾上 雅典
- (行政書士)
- 河野 英仁
- (弁理士)
多摩地区ゼネコン入札談合事件(審決取消訴訟)
最高裁平成24・2・20民集 第66巻2号796頁
都市基盤整備事業を行う法人が特定の地域において指名競争入札の方法により発注する一定規模以上の土木工事について複数のゼネコンがした受注予定者の決定等に関する合意が,独禁法(平成14年法律第47号による改正前のもの)2条6項所定の「不当な取引制限」に当たるとされた事例
市町村から委託を受けるなどして都市基盤整備事業を行う法人が特定の地域において指名競争入札の方法により発注する一定規模以上の土木工事について入札参加資格を有する複数のゼネコン(広域総合建設業者)がした,
【1】上記法人から指名競争入札の参加者として指名を受けた場合には,当該工事若しくは当該工事の施工場所との関連性が強い者又は当該工事についての受注の希望を表明する者が1名のときはその者を受注予定者とし,複数のときはそれぞれの者の上記関連性等の事情を勘案してこれらの者の話合いにより受注予定者を決め,
【2】受注すべき価格は受注予定者が決定し,それ以外の者は受注予定者がその価格で受注できるように協力する旨の合意は,
【3】次の(1)~(3)など判示の事情の下では,独禁法(平成14年法律第47号による改正前のもの)2条6項所定の「不当な取引制限」に当たる。
(1) 上記法人は,入札参加資格を有する入札参加希望者の中から指名競争入札の参加者を指名していた上,規模の大きい工事や高度な施工技術が求められる工事については,同法人の付した格付順位の上位の事業者を優先して指名しており,上位に格付けされていた上記ゼネコン及び上記地域で事業活動を行う他のゼネコンを指名することが多かった。
(2) 上記合意をしたゼネコンは,上記合意に基づく個別の受注調整において,上記(1)の他のゼネコンからの協力が一般的に期待でき,入札に参加する地元業者の協力又は競争回避行動も相応に期待できる状況の下にあった。
(3) 実際に発注された上記土木工事のうち相当数の工事において上記合意に基づく個別の受注調整が現に行われ,そのほとんど全ての工事において受注予定者が落札し,その大部分における予定価格に対する落札価格の割合も極めて高いものであった。
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