- 志田 茂
- 志田茂建築設計事務所 代表
- 東京都
- 建築家
対象:住宅設計・構造
あるご夫婦の家作りのはじまり、そして夫婦のちょっといい話。
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最近、中古マンションと建売を見てきたそうです。奥様は小さな家でいいと考えていて
不動産屋に「たとえば15坪の家ってどうでしょうか?」と聞いたところ
その不動産屋に「そんな小さな家なんて無理でしょ」という感じで小馬鹿にした言い方をされたそうです。
ものすごく傷ついたそうです。
それにご主人が気づきました。「なんでそんなに落ち込んでるんだろう?」と。。
そこから、このご夫婦のちょっといい話が始まります。
内見してきた晩、ご夫婦で長時間話合いをしたそうです。
奥様の小さい家に対する気持ちは、憧れであり、自分達の家族の棲家としての強い思いだったのです。
でも、「ローンを組むのは主人なので、、」と御主人が納得するものなら「いいんだ」と、
自分自身を納得させていた事、でも「小さくてもいいから1戸建ての家」への強い思いがある事を、
話合いの中でご主人に伝えました。
御主人のほうは、
「家族が幸せに暮らせる家ならそれでいい」と考えていた事、
つまり念願だった「家」が手に入れば、奥様も喜んでくれて幸せになれる
と思っていました。
お互いに、相手がいいと思えば、「それでいいんだ」と自分自身を引いていたんです。
お互いにほんとに欲しい家というものを我慢していた事を、話合いで知る事ができたんですね。
さらに、お互いが望んでいた家は同じ方向にあった事を話合いの中で知り合う事になりました。
奥様の憧れの家の姿は、子供時代の友達の家。
ちょっとした庭があって、そこに向かって縁側があった平屋の家。
御主人は、「今の家はおかしい」と言い、昔住んでいた家のような「昭和な家がいい」と言われました。
ご夫婦共に、今の家の不自然さを感じていて、
しかも、自分達に不必要なものばかりが付けられいて、値段が高くなる、そんな家じゃなくて、
「昭和の家」のように、「家自体が呼吸しているような」家、
大き過ぎず、どこにいても家族の存在を感じられるような『ちょうどいい家』
を望まれていました。
「私があまりに落ち込んでいるのを主人がくみ取ってくれたので」と奥様がいわれたように、
そこから夫婦の本心の話合いが始まり、お互いの考えてる事を知り、お互いの思いやりを知り、
そして求めてるものが同じだった事を知る事ができました。
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家作りでは、「よく夫婦で話し合って、理解しあって欲しい」と私は言ってます。
それは、本当に自分達の求める家を理解でき、それがわかっていると、その先がとてもスムーズ進むからです。
でも、本当の本当は、いっしょに生きていくパートナーとして相手を知る一番いい機会だからなんです
だから、家を簡単に買ってしまったり、めんどくさがったりしないで、
人生のほんの1~2年の期間、、、真剣に夫婦で考えて欲しいと思います。
よき家づくりのパートナーとともに。
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