トラブル事例②~解体作業中に隣地とのブロック塀を損壊
売却の委任を受けた物件は貸家だった古家が残っていました。
築年数も50年近く経過していたため売却を促進するために建物を
解体することを進言しました。
解体作業も順調に進み整地作業を済ませる最終段階になったとき、
作業者の不注意で隣地との境界上にあったブロック塀を損壊させて
しまいました。
目隠しも兼ねたブロック塀は軒下くらいまで高く積まれたもので、
解体業者が隣地所有者に謝りに出向いた際には復元するか新設する
場合は当方の敷地内に造って欲しいと言われました。
私は物件の担当者として解体業者と再度訪問して詫びを告げ善後策
の相談を申入れました。
解体作業に着手する前に隣地所有者に挨拶した際、双方の境界線上
にあるブロック塀は撤去のご相談をさせて頂くかも知れないと申し
入れてはいたものの、心情的にはどうせ解体するものならという気
には中々なれるものではありません。
しかし丁重に詫びてから四方山(よもやま)話になった際に、隣地
所有者がふと問いかけをしてきました。
「この辺りの相場はどれくらいなの?」と。
隣地の家屋も同じ時期に建築されたもので、そろそろ少しずつ手を
加えないといけない時期に差し掛かっていました。
当方の売却価格を提示して所有者の真意を伺ったところ、上手く買
手が見つかれば売却してもいいかな、という雰囲気でした。
当方の委任物件の問合せ状況を報告して心境を窺いながら、当方の
売買契約が結ばれた直後に売却の意思確認をして、売却委任を受け
お住み替えのお手伝いをさせて頂くことができました。
私の場合クレームや不具合が発生したときにはできるだけ速やかに
現場に向かい、状況を確認することをモットーにしています。
「嫌だな」という思いが強くなる前にその状況に携わることです。
災い転じて福となった事例の一つでした。
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