
- 森岡 篤
- 有限会社パルティータ 代表
- 建築家
対象:住宅設計・構造
主に日本の文化・工芸を紹介する、とても好きな番組で、毎週チェックしています。
http://www.nhk.or.jp/tsubo/
先週は、「蔵」が放送されました。
以前静岡県松崎町で、多くの蔵を見に行ったことがあり、興味深かったです。
「蔵」というと、白い漆喰壁と瓦を使ったなまこ壁を連想しますが、番組で特徴的だったのは、江戸黒と呼ばれる黒漆喰です。
川越にいくつか残されているそうです。
黒漆喰は、手間ひまかけたぜいたくなもので、黒いだけでなく、輝きを持ちます。
建築では、「ツヤ」を上品に見せることはとても難しいことを以前お伝えしました。(以前のコラム)
うまくデザインしないと、品がないばかりか成金に見えてしまいます。
番組では、今では数少ない、黒漆喰を作ることのできる左官職人の方が、製作過程を紹介していました。
黒の材料は、菜種油を燃やしてできる油煙を漉して作られます。
何段階もの手作業の工程を経て、最後は手で磨き上げ、仕上げられます。
実に重厚なツヤです。