1960年代後半に国民総背番号制度として導入が検討されました。その後も、管理の簡素化のために何度か検討されましたが、ことごとく法案化する前の段階で葬り去られています。それを、長年反対だった野党側の民主党政権の下で法案化がなされ、自民党が成立させるというのですから、時代の移り変わりを感じざるを得ません。
多くの経営者が不安に思っているのは、自分の財産が公になることです。多額の資産を分散していたのが、一つにまとめられることになります。人には知られていないはずの借金が、マイナンバー制度がスタートすることによって、知られることを心配する人もいるはずです。人間、長く生きてきますと、秘密の一つ二つはあります。特に、経営者には資金の秘密が多いです。
問題点を整理しますと、一つ目は役人のモラルが低下している中で、個人情報を一元管理しますと悪用されること。全国には数百万人の公務員がいます。中には借金で首の回らない人も少なからずいます。彼らが、悪質金融業者に指示されるまま、人の個人情報を盗みとって渡すなんてことが起こりそうです。現在も、この種の事件は多数発生しています。
二つ目は、たいへんな合理化が行われるのに、そこで発生するメリットがほとんど公表されていないことです。公務員を減らしたり経費の削減につながるはずなのに、試算好きの総務省がまったくメリットをPRしていません。このままですと、国民の負担とリスクばかりが大きく、政府や自治体はメリットばかりを得ることになります。
三つ目は、財務省、金融庁、検察や警察に個人情報が筒抜けになって、官僚天国日本はますますその肥大化を許すことになります。ブログで官僚批判を書きますと、警察から1億円のヘソクリをばらす、なんて警告がくることにもなりかねません。財務、裁判所、検察、警察などの官僚が、マイナンバーの情報を入手することによって、新たな権力を手にすることになりかねません。
【一言】
薬のネット販売や株式会社による幼児保育への参入規制をみて判る通り、官僚は起業家がビジネス領域を広げることに反対します。官僚が既存の大企業の利権を守る側にいるのに対し、起業家は既存企業からお客さんを奪う立場ですから、当然と言えば当然です。しかも、官僚はリスクを背負って新たな市場を開拓するようなことはしませんから、水と油の関係にあります。ただ、時代の流れは起業家の側にあるとわたしは信じています。
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